いくつかの業界を例に、「価格」と「価値」そして、「業界相場」というものを考えてみよう。そこから見えることは・・・
その他の業界の今後を占ってみると、ネイル業界であれば、現在のところマニキュアのように家庭ではできない「ジェルネイル」や、さらにそれに絵柄を加える場合なども相場を上回る価格設定ができている。しかし、そろそろ過当競争が始まっているため、プレミアムなサービスをそのまま価格を下げて提供する「高価値戦略」への転換が求められるだろう。となると、元々原材料比率が低い業界のため、固定比率をどう下げるかが課題となってくる。
マッサージ業界はプレミアム要素を提供しているプレイヤーがあまり見当たらないので、近く過当競争に突入すると考えられ、「グッドバリュー」に集約されそうだ。マンツーマンのスポーツトレーナーは市場自体まだ大きくないため、黙っていてもプレミアム価格が受け入れられている場合も少なくないが、今後は「独自のメソッドを提供する」など何らかの価値向上が求められる。それによって「高価値戦略」で差別化・生き残りを探ることとなるだろう。
転じて、企業に勤めるビジネスパーソンの場合はどうか。
今年、経済環境は一層厳しさを増すことを暗示する事象が正月からいくつも伝えられている。中価値戦略で禄を食むことは続けられない。黙っていれば、企業は固定比率引き下げにかかってくるだろう。だからといって、黙って給与下げに甘んじるわけには行かない。
だとすれば、同じ給与を保つために付加価値を高めて「高価値戦略」を展開するか、もっとスーパーな存在になって、給与上げも狙う「プレミアム戦略」を展開するしかない。
どんな業種も、個人も、「相場」に安住することが許される時代ではなくなっているのである。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。