流行を見極めるのは難しい。かといって、やみくもに動いてもヒットは生まれない。今回は、逆張り的トレンド予想について考えてみよう。
モノゴトは、一方に振り切った時にはその反動が出る。「反動需要」だ。「メガフードブーム」が顕著な例である。2007年に「メガマック」が人気を集め、2008年頃には牛丼、コンビニ弁当、カップ麺など様々な食品に飛び火した「メガブーム」は、それまでの健康志向の高まりや2008年度から法制化された「メタボ検診」などへの反動的需要であるといえる。
その文脈からすると、「ファストファッションバブル」もそろそろ崩壊するのではとも考えられる。
10月5日付日経MJには、「スペンド・シフト―<希望>をもたらす消費 ―」の著者ジョン・ガーズマのインタビューが掲載されていた。リーマンショック以降の大きなトレンドは、「量より質」になり、「エシカル(倫理的)」であり、生産者の「物語」が求められている。「身の丈消費」という点ではファストファッションはリーマンショック後の価値観に合致しているが、大量画一生産・消費=使い捨という側面はエシカル的には支持され続けるか疑問だ。廉価であることが重要なのではなく、消費者が納得できる価格とストーリーのある中小ブランドが台頭してくる可能性が考えられる。例えば、「マザーハウス」。途上国の貧困克服のため、バングラデシュのジュート(麻)やレザーを用いて作った高品質なバッグを製造・販売する同社のような存在がもっと活躍するようになるかもしれない。
ヒット商品を作りたければ、ヒットの「反対側」を見ることも重要だ。そして、「逆張り」をする。次のブームを読むには、まずは一つの方向に振り切った状態を見つけることから始めたい。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。