コンビニで異彩を放つあの商品。飲料の新商品導入ではとりわけコンサバティブなセブンイレブンでも先週、緑茶飲料棚の一角をついに確保した。しかし、別のチェーンではコーヒー飲料棚の端に陳列されている例もある。さて、誰を狙っているのだろう。
では、伊右衛門グリーンエスプレッソは誰を狙っているのか。
前述の通り、口広ボトル缶で「香り」を訴求し、中身では渋味をなくしほのかな香ばしさのような新しい味を実現している。第1ターゲットは「本格ニーズ」が未充足な状態の缶コーヒーライトユーザーだ。「お茶ならコーヒーに負けない香りと、甘くない本格的な味わいが得られる」というKBF(Key Buying Factor=購買決定要因)を示して取り込む。第2ターゲットは緑茶飲料ユーザーだ。「緑茶の新しい価値」を訴求することによって、緑茶飲料カテゴリーと伊右衛門ブランドからの離反を防止する狙いがあると思われる。
缶コーヒーユーザーを狙っていると思われる根拠は、前述の異様に凝ったパッケージにある。本屋でマーケティングに興味がない人は、通常マーケティングの本を手に取らない。しかし、ビジネス一般のコーナーに平積みにして、面白い装丁にすれば手に取る可能性は高まるのだ。マーケティングに元から関心のある人も、新奇性で吸引できる。そして、その魅力は飲めばわかるという寸法だ。
サントリーには香りを楽しむ口広ボトルの「シルキーブラック」がある。その意味では、「グリーンエスプレッソ」とのカニバリ(喰い合い)はある程度発生すると思われる。しかし、缶コーヒーユーザーのうちアロマ嗜好層は最もライトユーザーなので、両商品を併飲するようになるという計算が働いているのではないか。
久々に登場した、謎めくクロスカテゴリーな新商品である「伊右衛門グリーンエスプレッソ」。実際にはどのような人が、どの程度支持して売れるのか。要チェックである。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。