市場は常に変化している。変化の波をどう乗り切るのか。食品の事例から考えてみる。
フジッコの「おまめさん」。内容量が平均で160グラムある家族向け商品の「おまめさん」は、個食化が進んだ時代に合致しない商品となり、一時は売上が低迷。そこで、「食べきれる量目・食べやすい容器・そのまま食卓に置ける」をコンセプトに商品開発を進め、新製品を発売したところ、工場の能力が追いつかないほどの売れ行きとなった。
定番中の定番ともいえる「ノザキのコンビーフ」も変化している。内容量を100グラムから1回使い切りサイズの75グラムに減じると同時に、缶のフタをゼンマイ状にねじって開けていくという伝統的な構造を変え、開けやすいプルトップの「イージーオープン缶」にした商品を発売した。
単なるパッケージのデザイン変更は「付随的価値」の向上に過ぎないが、「一人前にピッタリのサイズ」や「開けてすぐ食べられる」と用いられ方に関わるものは「実体的価値」として訴求力が強い。また、「量が多くて余ってしまう」「開けにくい」等、消費者の購買棄却理由を抽出して最適化することも「手に取って買ってもらう理由」として重要だ。
市場はどんどん変化していく。しかも残念なことに、かつての大量生産・大量消費の時代のようにカンタンでオイシイ話はなくなっている。変化をつかみ、先取りし、消費者に「買う理由」を提示し続けること以外には生き残る方法は見つけにくいのである。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。