サンリオとジーンズのエドウインは、サンリオのキャラクター「クロミ」をモチーフにした子供服を土屋アンナがデザイン監修するコラボレーション商品「ANNA×KUROMI」シリーズを2012年春から展開するという。その狙いはどこにあるのだろうか。
中価格帯でちょっとこだわりのサンリオキャラクターとタレントとのコラボ商品が買えるという価値を、もう1つのコラボ元であるエドウインが提供しているわけだが、そこには明確な狙いがある。
8月8日付日経MJに「ジーンズ市場 縮小続く 昨年度生産数9.3%減 6年連続前年割れ」という記事が掲載された。<ユニクロやジーユー、スーパー独自ブランド商品などは含んでいない>とあるが、それらに喰われたという原因が大きいが、もう一方で<チノパンや女性用のレギンスに追われた格好だ>とも記事は分析している。
有名メーカーの一角であるボブソンの民事再生法適用申請は記憶に新しいが、記事でもダブタイトルに「販売戦略 各社に変更迫る」とある。その一例として、リーバイスは<総合スーパー向けが中心だった低価格品から撤退し、1万円以上するジーンズに経営資源を集中。市場全体が縮小するなか、売り上げをいったん減らしてでも、粗利益の高い商品に特化することで利益の改善を目指している>とある。高価格、プレミアム戦略での利益改善は1つの解であるが、その反面、ニッチなポジションになってしまうという面は否めない。
同記事は<ジーンズは団塊世代と20代までの若年層が中心購買層。これらの世代に対し、新しい販売促進策を打ち出すなど業界全体の活性化が求められている>と結ばれているが、エドウインが「ANNA×KUROMI」で狙っているのは購買層から抜けた30~40代の親だ。ナゼなら、親の「ジーンズ離れ」は子がジーンズに親しむ機会の喪失も意味するからだ。このままでは次の20代はジーンズを着用せず、ジーンズは「老人の服」になってしまうかもしれないのである。また、「将を射んと欲すればまず馬を射よ」。子どもが「カワイカッコイイ」ジーンズを身につけたなら、その親もおそろいにジーンズでキメたくなるかもしれない。そんな期待も当然、込められているに違いない。
コラボブランド「ANNA×KUROMI」は、「手が届く価格」を実現し昨今の子供服が売れる条件を満たしつつ、次世代ユーザーを育成し、購買層からスッポリ抜けてホワイトスペースとなっている30~40代の呼び戻しを狙った戦略であると考えられるのである。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。