中退率から学校改革を考える!

2011.07.15

ライフ・ソーシャル

中退率から学校改革を考える!

中土井 鉄信
合資会社 マネジメント・ブレイン・アソシエイツ 代表

関わっている私立高校で、中退者を激減した。単に有名大学への進学者数を高めることが学校改革だと考える学校関係者は多いが、中退率は、その学校の教育環境の良し悪しをはかるバローメーターになると思う。

 高校生の中退に関しては、さまざまな要因がある。
 家庭環境に起因した退学。友人関係に起因した退学。勉強に起因した退学。
そして、無気力に起因した退学。

 色々な原因があるが、一番重要なことは、高校が義務教育ではないということだ。
 「義務」ではないということは、「権利」だということだ。その「権利」を行使するためには、勉強、あるいは学校へと通うモチベーション(=やる気・動機)が必要だ。

 学校や教師が、生徒のモチベーションを刺激するという視点で彼らと接することが中退の防止には非常に役立つ。この視点が、今までの学校には薄かった。

 だから、中退者の約30%が、いざ高校を離れてみると、もう一度高校へ再入学しようとすることになるのだ。学校から離れると、逆に学校へと通うモチベーションが刺激されるという皮肉な現象をこの数字は語っている。

 内閣府は、高校中退後おおむね2年以内の2651人に郵送でアンケートし、1176人から回答を得た結果を2011年版「子ども・若者白書」で公表している。それによれば、高校中退者の78%が「高卒資格は必要」と考え、7割近くが将来に不安を感じているという。また、中退者の31%は再入学して定時制や通信制、全日制高校などに在学していた。

 学校や教師は、勉強をする意味、生きていく意味、そして、成長する意味を徹底的に生徒たちに伝えることだ。

 教育とは、意味を子どもたちに与えて、一人前の大人にすることだ。

 だとすれば、学校や教師は、徹底的に意味を生徒たちに伝えて、学ぶモチベーション、生きるモチベーションを高めていこう。
 教科を教える前に、モチベーションを高めることだ。

 私が、関わっている私立高校では、驚くほどに中退者数が激減した。
 勉強をする意味、生きる意味、そして、成長する意味を徹底的に生徒たちに伝えた当然の帰結だと私は思っている。

合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツ
中土井鉄信
http://www.management-brain.co.jp/

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中土井 鉄信

合資会社 マネジメント・ブレイン・アソシエイツ 代表

1961年、神奈川県横浜市生まれ。 現在、合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツ代表。 NPO法人 ピースコミュニケーション研究所理事長。

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