2011年7月2日付日本経済新聞の東京・首都圏経済欄に掲載されたイベントの情報。女性限定のマラソン大会が開催されるというが、その価格設定について考えてみたい。
短い記事なので以下に全文を転載しよう。
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『女性限定マラソン大会9月18日にお台場で開催』
女性のモデルやデザイナーらで設立した一般社団法人「ランガール」は女性限定のマラソン大会「ランガール・ナイト」を9月18日に開催することを決めた。女性ならではのニーズに対応し、更衣室や託児所なども用意する。深海副都心の潮風公園(東京・品川)をメーン会場に5キロメートルと10キロメートルのコースを設定した。500人を募集。参加費は8000円。
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■参考:一般社団法人「ランガール」→ http://www.rungirl.jp/
5kmまたは10km走って8000円。このプライシングを高いとみるか、安いとみるか。
TwitterとFacebookで意見を、聞いてみた。
「高いとは思わない」という声もあったが、大半は「高い」という感想だった。
プライシングには「3C」の視点が必要だ。即ち、Customer(顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)である。
「ランガール・ナイト」と競合になり得る存在として、まずは人気のマラソン大会という意味で、参加当選倍率が10倍を超えたといわれる「東京マラソン」と比較してみよう。フルマラソン42.195kmが10000円。10kmコースは5000円である。
距離の設定が近いところでは、ホノルルマラソンの姉妹大会となっている三浦国際市民マラソンは、ハーフマラソンで4000円、10kmが3500円、5kmが2500円。
競合の価格を見てみると、10kmの同距離で比べれば、大人気の東京マラソンの1.6倍、いわゆる市民大会である三浦国際ハーフの2.3倍だ。
では、顧客である参加者にとっては8000円にどのような価値があるのだろうか。
レースにはその時間を超えるとタイム計測対象外となる「制限時間」が設定されているが、10kmが1時間30分。5kmが50分である。つまり、純粋に走っている時間だけの価値で考えれば、映画1本分とほぼ同等の時間であるにもかかわらず、映画チケット1800円の4.4倍の価格となる。レジャーとしてはかなり割高であることになる。
しかし、この大会の価値は走っている時間以上に、その前後に重きを置かれている。2010年の大会概要、その中のタイムテーブルを見てみるとよくわかる。
http://www.rungirl.jp/archives/
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。