毎年2回恒例、「ちょっと変な味」で話題を集め続けている「変わり種ペプシ」が今年も発売される。しかし、昨年あたりから様子が変わってきた。妙に美味しいのだ。それはいったい、何を表しているのだろうか。
なぜ、戦略の転換をしたのか。それは、リーダー、コカ・コーラの背中が見えたからではないだろうか。
2009年3月31日付FujiSankei Business iに興味深い生地が掲載されていた。サントリーは「ペプシネックス」と「ダイエットペプシ」の2商品を持っているが、2008年の時点では2商品合わせても<シェアは44%と日本コカ・コーラにわずかに後塵(こうじん)を拝した>という。それを2009年の<販売数量を13%増><シェアも47%に引き上げる計画>であり、さらに<国内シェアを早期に約20~30ポイント上昇の60~70%に引き上げる>という計画をぶち上げたのである。
果たして、その結果はどうだったかは続報がなかったが、今こそ、それが現実的なシナリオになろうとしているのではないだろうか。
では、コカ・コーラは「美味しい変わり種ペプシ」を先兵としたペプシの戦略に、「美味しい変わり種コカ・コーラ」という同質化戦略で対抗してこないのだろうか。結論から言えば、それはあり得ない。
Wikipediaに「カンザス計画」という実に面白い項目がある。
http://tinyurl.com/2688ee8
公知の事実ではあるが、ある意味でのコカ・コーラの黒歴史を記述しているのだ。
<カンザス計画(カンザスけいかく)は、コカ・コーラが過去に一度だけ、その味を改革した試み><新旧の味を併売せずに全て新しいフレーバーに入れ替えたため、消費者から「昔の味を返せ」と抗議が殺到。たった3カ月で元の味のコカ・コーラを「コカ・コーラ・クラシック」として再発売する結果になった>というものだ。
味の変化に厳しいファンは、派生新商品であったとしても、「コカ・コーラ」のブランドを冠した商品で「変わり種」は認めないだろう。また、ブランドとしても「カンザス計画」のトラウマがある以上、冒険はしたくないはずだ。
リーダーができない戦略を展開するのがチャレンジャーの真骨頂。既にペプシは「ペプシドライ」で「甘くないコーラ」という新たなコンセプトを世に問うて消費者から一定の評価を得ている。そして、今回は、従来のように単に変わった、珍しいだけの「変わり種」ではなく、シェア逆転の一撃ともなる武器として繰り出そうとしていると考えられるのである。
・・・と、以上は「ペプシ カリビアンゴールド」が美味しかったら、という前提に立った仮説である。果たして、現実はどのようになるのか。発売の7月26日が楽しみである。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。