親子で2倍?!QBハウスの新戦略!

2011.05.11

営業・マーケティング

親子で2倍?!QBハウスの新戦略!

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

 「お散歩感覚“10分間の身だしなみ”」がキャッチフレーズの1000円理容室、「QBハウス」がJR東日本と組んで、親子連れを狙った新店舗の展開をはじめた。その戦略を読み解こう。

 いいことずくめに思える「親子で一緒にカットの店」だが、どこでも成立するというワケではない。まずは、低年齢人口が多く、住宅地と商業施設などとの利便性が高いという立地が求められる。どちらかというと都市型のQBハウスがJR東と組んだのは、郊外の駅ビルという、その条件をクリアする物件を多数所有しているからだろう。
 条件は立地だけではない。「親子で一緒」を実現するには、「親子が同時にカットをスタートして、終了すること」が求められる。QBハウスのスタイルは、所要時間は10分と決まっているので、同時終了は間違いない。では、同時スタートはといえば、QBハウスは理容師の指名なしなので、これも可能なのだ。前の客が終わったら、手が空いた理容師に呼ばれてカットを受ける。一見、機械的に見える方式が、「親子一緒、同時スタート・終了」には実に都合がいいのである。

 2010年4月11日付日経MJ・3面コラム「底流を読む」にQBハウスの事例が掲載され、以下のような記述があった。「理美容の業界には“10分1000円の法則”がある。10分あたりの料金設定の目安であり、このラインを下回ればそれだけ価格競争が激しいことになる」。ジャスト10分・1000円の価格設定は、実は業界の標準価格であり、「旧来の理容店がシャンプー、ひげそり、それに軽妙な会話までをパッケージで売っていたものを、QBハウスはカットだけ売ることにした」ことがQBハウスの成功の方程式なのだ。それをさらに「売上」を要素分解し、「客数」を増し、さらに「来店頻度」と「リピート率」を高めるため、新業態「IKKA(イッカ)」をJRと組んで展開したというのが今回の戦略のキモなのだ。

「売上を上げよう!」「利益を高めよう!」というかけ声だけでは何も改善しない。具体的に高めるべき変数は何なのかを「要素分解」して、具体策を考えていくのが肝要なのである。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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