東日本大震災が発生し、1カ月が経過した。景気の先行き不透明感が漂うが、ここにきて震災を口実にした“便乗解雇”が懸念されている。こうした事態に直面しても、会社員は泣き寝入りするしかないのだろうか。 [吉田典史,Business Media 誠]
それによると、震災で直接・間接の影響があった企業の割合は、名古屋が78%、大阪76%、兵庫75%、京都72%、高松61%、札幌は59%となった。その影響で最も多いのは、「仕入れ先の被災や電力不足で、部品や原材料などの調達に支障」、次に「物流の問題による原料・部品の入手困難」だった。
震災を口実にした便乗解雇
愛知県内を拠点に活動を続ける労働組合コミュニティ・ユニオン東海ネットワークの坂 喜代子さんらは3月25日、地元の愛知労働局に「東日本大震災にともなう緊急雇用・労働問題対策の要望書」を提出した。愛知、岐阜、三重、静岡などの企業で働く組合員らの声をまとめたものである。
それによると、この地域には大手メーカーがひしめくが、契約社員や派遣社員ら非正社員の労働契約の解除が震災以降、増えたという。正社員も解雇されたケースがある。坂さんらが問題視するのは、これらの企業は震災の被害を直接受けているわけではないのに、急きょ、リストラを行っているということ。しかも、その理由の説明が不十分であること。
「組合員からその状況を聞くと、もともと会社の経営者にはこの労働者を辞めさせたいという思いがあり、震災を口実にここぞとばかりに辞めさせようとしている可能性がある。今後は、震災を口実にした便乗解雇に厳しく対処していく」
私は今回の大震災は、約20年前にバブル経済が崩壊した後、長く続いた「悶々(もんもん)とした労使関係」に終止符を打つきっかけになるかもしれないと思う。このまま「時代錯誤で、前近代的な労使関係」を続けるのではなく、いい意味で緊張関係があり、ぶつかり合う中で問題を解決していく「今の時代に即した労使関係」にしていくタイミングなのではないだろうか。
読者は、この大震災に伴う雇用不安をどのようにとらえるか。
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