4月4日付・日経MJに「バーガーキング」の新たな販促施策が掲載されていた。いや、それは単なる販促ではない。バーガーキングがバーガーキングたる、その存在価値を世に知らしめようという戦略なのだ。
記事には「食材増量 大型バーガー」「トッピング自由 定着狙う」と見出しにあり、「定番ハンバーガーに様々な食材を増量した“MEAT MONSTER”」という説明が添えられた写真には、「あ~ん」と口を開けて正面からかぶりつこうとすると、確実にアゴが外れそうな新商品が映っている。(単品・税込820円)。何と、通常の大型ビーフパティに1枚をさらに追加し、チキン1枚、チーズやベーコン3枚もトッピングしたものだという。
記事にある「トッピング自由」は、バーガーキングのニュースリリースを見ると、同社のブランドプロミスであるらしい。
「米国バーガーキング社(以下:BKC)は、かねてよりブランドプロミスとして「HAVE IT YOUR WAY®」を掲げ、ビーフパティやチーズ、野菜、ソースなど、お好みに応じて増減が可能なメニューを提供してまいりました」とある。
そもそも、「WHOPPER(ワッパー)」と呼ばれるバーガーキングのハンバーガーは「大盛り」だ。ビーフパティの直径は5インチ(約13センチ)・4オンス(約113グラム)。大型バーガーとして有名になったマクドナルドの「クォーターパウンダー」のパテの重量は1/4ポンド=約113グラム。つまり、バーガーキングではそれがフツーのバーガーなのだ。基本、「大盛り」のバーガーに具材をトッピングしていく。まるで、大盛りで有名な「ラーメン二郎」の「ニンニク入れますか?」のようだ。
バーガーキングの狙いは「トッピングをおぼえさせること」。記事には「バーガーキングは「HAVE IT YOUR WAY(すべてあなたのお好みどおりに)」の名称で食材を自由にトッピングできる独自サービスを展開している。例えばトマトは50円、タマゴは100円など」と説明がある。今回、もう1つ発売された新メニュー「ALL HEAVY」」(単品・税込420円)は定番の「WHOPPER」のレタス、オニオン、ピクルス、ケチャップを1.5倍に増量したものだ。お値段は据え置き。
しかし、「お得!」と思ったら、ちょっと待ったである。実は、従来から「WHOPPER」にはそれらの本来料金設定がなされている具材を、無料でトッピングしてくれるサービスがあるのだ。種明かしをするなら、実は「ALL HEAVY」ははじめから「WHOPPER」に無料トッピングできる具材をセットして、新たな名前を付けたに過ぎないのだ。
なぜ、そんな複雑なことをするのか。前記の「ラーメン二郎」の話。詳しくない人には上記の「ニンニク入れますか?」は「はぁ?」と思ったかもしれないが、同店では店員のその言葉を合図に、追加具材の注文を客が注文する。初めての人にはそれに戸惑ってしまうのだ。それと同様にバーガーキングもトッピングの注文はなれていないとなかなか切り出しにくい。そこで、最初から「全部入り」をメニュー化しているのだ。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。