ITのおかげで、簡単に情報の大量送信が可能になった時代だからこそ、逆に、送信先の媒体の特徴や紙面構成をしっかり理解し、個別に送っていることがわかる文面のプレスリリースに仕立てることが、好印象を高め、最後まで読んでもらえて、掲載率も高まるのです。
イベント会場などで、たまに顔を合わせる知人がいます。会ったときはあれこれ話しますけど、それほど親しいわけではありません。
その人が、時々私の携帯メールにいろんなイベントのお知らせを送ってきますが、ほんとにお知らせだけなんですよね。一斉同報なので仕方ないとは思いますが、「こんにちは」くらい頭につけたら?と思うし、できれば、同報じゃなくて、個別に名前で呼びかけて欲しい。
個人レベルで送信してるので、同報っていったって数十人程度だと思うんですよね。イベントのお知らせ自体は私も関心のある分野。決して迷惑ではないので、なんとも残念な気持ちになるのです。
まあ、これは個人レベルの話なので、仕方ないかで済みます。しかし、プレスリリースだと仕方ないで済ませるわけにはいかないですよ。
マガジンハウス、「ブルータス」編集長、西田善太氏は、最近増えてきたメールでのプレスリリースに対し、“1行目で読む気が失せてしまう”とおっしゃっています。それは、「BCC配信にて失礼します」と書かれた1行目です。
西田氏は以下のように言い切っているのです。
“たいした手間もなく、リターンキーひとつで送られる情報にどうやって興味を持てるというのでしょう?”
“編集の仕事でそんな依頼してたら、誰も動かせませんぞ。”
まったく賛成です。さらに西田氏の名言!
“広告も広報も(そして雑誌も)人を動かす仕事です。”
人を動かしたいと本当に願うなら、一斉同報、BCCで大量に配信して済ませるのは効果の低い「残念な方法」だと思います。一律の内容を手抜き的に送るのでは、思いが伝わらないのです。思いは、1対1の関係で頼んでいるということを感じさせないと伝わらない。
ですから、西田氏が言うように、
“贈る者は汗をかけ!”
だと思うのです。
これは、コピーライター、岩崎俊一氏が書いた西武百貨店のコピーだそうですが。大切な誰かにプレゼントを贈るときって、相手が喜んでくれることを願って、どんな立場・関係の人か、何が好きそうかを考え、贈る中味、包装紙、贈り方など気を配りますよね。
西田氏は、プレスリリースも同じくらいの配慮が必要だと主張しているのです。
ITのおかげで、簡単に情報の大量送信が可能になった時代だからこそ、逆に、送信先の媒体の特徴や紙面構成をしっかり理解し、個別に送っていることがわかる文面のプレスリリースに仕立てることが、好印象を高め、最後まで読んでもらえて、掲載率も高まるのです。
関連記事
2015.07.10
2015.07.24
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。