関西私鉄大手・南海電鉄が葬祭事業に力を入れる。確かに葬祭ビジネスはこの先有望、潜在ターゲットは間違いなく増える。では、南海の新事業は成功するのだろうか。
これにより事業規模も年商35億円をめざすという。私鉄が沿線ビジネスをいろいろ展開するのは、大前研一さんによれば日本だけのモデルらしい。ともあれ私鉄各社はこれまで、沿線に住宅開発を行い、続いて生活に必要なさまざまな施設を展開してきた。そして、超高齢社会を迎えて、人生の出口まできちんと面倒見ますよ、と言うことなのだろう。
これを新聞では「生活密着型事業を強化して自社沿線価値の深耕を目指す(前掲紙)」と評している。うまい表現だ。では、南海電鉄の葬祭ビジネスは、うまくいくのだろうか。
カギは顧客接点に
可能性は高いと思う。なぜなら、このビジネスにおけるKFSの一つが顧客接点にあり、その点で私鉄は有利だからだ。
このビジネスを展開する上でのKFSは、まず顧客接点の確保であり、第2がブランドだ。従来、こうした冠婚葬祭ビジネスといえば互助会が圧倒的に強かった。生前からお金を積み立てておいて、ということは、すでに生前から葬儀を出してもらう業者を決めていたわけだ。
しかし、そうした互助会は、すくなくとも都市部では存在感を失っている。そこでどうやって、ターゲット顧客と接触するか。チラシをまいて相談会を行ったり、自宅訪問を行うケースもあるようだ。しかし、内容がデリケートなだけに、これは難しいのではないか。
相談するキッカケ作り
しかし私鉄が沿線住民を相手にする場合には、確実な接点がある。駅である。といっても最近流行りの「エキナカ」に葬祭相談所をというわけでは、もちろんない。しかし、高齢者を対象に、駅にいろいろな便利相談窓口を設置すればどうなるか。
しかも私鉄沿線は、当の私鉄が開拓してきたマーケットである。地域住民にとっても、その私鉄ブランドはなじみ深いものだろう。しかもターゲット世代ほど、通勤や買い物などで、その私鉄を利用する機会があったはず。そこに相談窓口があれば、ちょっと話を聞いてみるか、となる可能性は高いはずだ。
とはいえ、葬祭ビジネスが顧客を決定的に掴む接点は、もう一つ確実にある。病院である。対病院となると、私鉄のメリットを活かして対抗することもままならない。多くの人が臨終を迎える場、病院にどうやって食い込むのか。病院を押さえることができれば、私鉄の葬祭ビジネスが成功する可能性はさらに高まると思う。
と、ここまで書いてきて、あっ、なるほどと閃いた。そこはそこで、うまいやり方があるわけだ。なるほどね。最後のうまいやり方が、何か、思いつかれた方は、ぜひお知らせください。
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