なぜ売れる?「パナソニック・ナノケア」の謎を探る
2009年11月6日付・日経産業新聞のコラム「デザインここで勝負」に、「デイモイスチャー ナノケア」に関する記述がある。「ナイトスチーマー」の成功体験を活かし、「仕事場でのデスクワーク中に肌を保湿する」ための商品として2009年11月1日に市場に投入された。パナソニックでの立役者は、前出の山田詩織さんである。「ながら美容」という言葉が全商品で浸透しはじめたところで、その定着を狙い、「ナイトスチーマーをそのまま小さくしたような形に決めた」という。山田さんは2商品について「姉妹のような感じで使ってもらいたい」と語っている。事実、Amazonで「ナイトスチーマー」か「デイモイスチャー ナノケア」を検索すると、もう一方が「よく一緒に購入されている商品」として表示される。狙い通り、「クロスセリング」が成功しているのである。
製品の使用感や効果はパナソニックのサイト内の「購入者の声!」というコンテンツだけでなく、「カカクコム」や様々なサイトでユーザーの生の声で確かめられる。だとすれば、重要なのは「スチームが見える、見いえない」ではないのだろう。まして、オフィスで使用しようと思ったら、デスクでもくもくとスチームを発生させるわけにはいかない。「目には見えなくても、いつでも自分をケアしてくれている」という感覚が大切なのだ。
ロジャースが「イノベーション普及論」を記してから40年が経っている今日、忙しいながらも癒しを求める現代社会に暮らす人々のKBF(Key Buying Factor=購入要因)は、彼の想像を遙かに超えたものになっているのである。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。