こんな時代だからこそ、基本に立ち返って考えてみたいことがある。
では、顧客が求める「価値」とは何か。そして、それをどのように把握して、実現するのか。それには、マーケティングの最重要テーマである「ニーズの把握・深掘り」について理解しなければならない。
セオドア・レビットは、「昨年度、4分の1インチのドリルが100万個売れた。これは、人が4分の1インチのドリルを欲したからでなくて、4分の1インチの穴を欲したからである」と自著に記している。一般にはもっとわかりやすく、「顧客はドリルが欲しいのではない。穴が空けたいのだ。」という意義に置き換えて説明される。つまり、顧客は「モノ」ではなく、それによって実現された「理想的な状態」を手に入れたいのである。つまり、「モノを通じて実現するサービスの価値」だ。
繰り返し、「モノを通じて実現するサービスの価値」というコラムの言葉を引用した。ここで重要となるのが、その言葉の「主語」が誰かということだ。
ダイレクトマーケティングの父、レスター・ワンダーマンは「19の法則」の第1番目に「主人公は商品ではなく、顧客である。(The Consumer, not the Product must be the hero.)」と述べた。
電通イーマーケティングワンの調査では、日本の「危機感に苛まれるマーケター」の姿が浮き彫りにされ、「モノが売れない時代」に、新規顧客を獲得せんと焦る気持ちが読み取れる結果が出た。しかし、既存顧客を相手にするにしろ、新規顧客を獲得するにしろ、「顧客は誰か」「顧客のニーズは何か」が明確になっていなければ、話は始まらない。
「マーケティングとは?」・・・そんな素朴な質問に端的に応えようとすると、意外と難しいことに気づく。しかし、こんな時代だからこそ、その意味を常に意識していることが欠かせないのである。厳しい時代だからこそ、それを忘れずにいたい。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。