今こそ、「マーケティングとは?」を深く考えてみよう

2010.12.04

営業・マーケティング

今こそ、「マーケティングとは?」を深く考えてみよう

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

こんな時代だからこそ、基本に立ち返って考えてみたいことがある。

 そもそも、マーケティングとは何か。
 ピーター・ドラッカーの「販売(selling)の必要性をなくすこと」という定義が最も端的な定義である。ドラッガーの言う「販売」とは、とにかく闇雲に売り込んだり、無理な安売りをしたり、無駄な広告を大量に投下したりという状態を表わしている。そんなことをするよりも、まずは顧客を知り、顧客の望むものを提供できるようにすれば、おのずとモノは売れていくのだという論である。もう少し長い言葉でも、わかりやすく明言している。
 「マーケティングが目指すものは、顧客を理解し、顧客に製品とサービスを合わせ、おのずから売れるようにすることである。(The aim of marketing is to know and understand the customer so well that the product or service fits her and sells itself. Ideally, marketing should result in a customer who is ready to buy.)」

 ドラッカーの言葉と同じ意味合いで、「ものづくり」の企業に向けて具体的に、これからの課題を提示した記事が12月2日付日経新聞夕刊に掲載された。5面コラム「十字路」:東レ経営研究所チーフエコノミスト・増田貴司氏による執筆だ。<最近、製造業企業が保守・リースやソリューション提案といったサービス事業に進出する動きが活発化している>という書き出しである。具体的には、新興国などの追い上げで、日本のお家芸たるハイテク製品までが短期間でコモデティー化し、価格競争に突入する中、<先進国の製造業が収益を高めるためには「モノの価値」ではなく、「モノを通じて実現するサービスの価値」で勝負することが重要になってきた>とするものだ。そこで<きめ細やかで親切、丁寧な、日本流の「おもてなし」のサービスが海外ビジネスで強力な武器になりうる>と論じる。

 前段の「モノを通じて実現するサービスの価値」とは、フィリップ・コトラーが、マーケティングとは「価値の交換活動」であるとして論じた言葉そのものだ。コトラーのマーケティングの定義は以下の通りである。
 「マーケティングとは、製品と価値を生み出して他者と交換することによって、個人や団体が必要なものや欲しいものを手に入れるために利用する社会上・経営上のプロセスである」。
 顧客はモノに対価を払っているのではない。その背後にある「価値」に対して対価を払うのである。つまり、「モノを通じて実現するサービスの価値」だ。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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