三洋電機の「GOPAN(ゴパン)」の人気がとまらない。そう、あの家庭で米から焼きたてパンが作れるパン焼き器だ。
本体の約5万円という価格(Price)はどう消費者に受入れられたのだろうか。従来品の2倍の価格だという。さらにネットでのオークション価格はさらにその倍の価格が付いて、それでも買い手がついている。
価格はイニシャルコストとランニングコストの両面で考えると売れるワケが見えてくる。三洋電機によると米粒を使って1斤のパンを作る費用は、従来の米粉を使う機種は340円であるのに対し、米やイースト、グルテン、砂糖などの材料を合計しても150円だという。つまり、コンビニやパン屋で食パンを買うのと同価格なのだ。初期費用はかかるものの、それ以降は食パンを買ったり、ごはんを炊いたりするのと同じ感覚で、ランニング費用を意識することなく、焼きたてモチモチのパンが楽しめるということなのだ。
販促(Promotion)、製品(Product)、価格(Price)と、ヒットのヒミツを検証してきたが、流通(Place)はどうだろうか。日経MJの記事に記載がある。<「ブログやツイッターでも大きな話題になった。こうした消費者の反応に接したバイヤーが売れると確信し、思った以上の発注につながった」>という。
つまり、GOPANの大人気は、メーカーの販促(Promotion)で作られたものではなく、消費者がプル型で話題を盛り上げたもので、その背景には優れた革新的な商品(Product)の特性があり、消費者が納得する価格(Price)があった。そして、消費者の人気、話題を見て、流通(Place)も販促に協力したり、大量の発注を決めたりしたという背景があるのだ。
売れる商品にはワケがある。それは、いわゆるマーケティングの4P(Product・Price・Place・Promotion)のどこか1つが優れているのではなく、相互補完的にヒット商品としてのヒミツを作り出しているのである。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。