日経MJの12月1日付けと11月26日付けの紙面に、ディスカウントストアとスーパーの「これからの姿」を示すような記事が掲載されていた。そこから何を学び取ればいいのだろうか。
11月26日付けの5面には「小型スーパー 個性競う」という記事が掲載されている。大手スーパー各社が都心で小型店の出店を増やしているという旨の記事だ。都心ではかつて、都心部からどんどん人口が周辺部に流出した「ドーナツ現象」の反対で、「アンパン現象」とも呼ばれる人口回帰が起きている。その需要を狙う動きである。「ヨーカ堂 こだわりの商品」「イオン ローコスト運営」と、各々の戦略の骨子が見出しとなっている。
都心型小型店のひな形として10月に出店したという食品館阿佐谷店(東京・杉並)は、比較的生活にゆとりのある高齢者、共働き夫婦、単身者を顧客に想定し、通常店にあまり厚内のない商品や刺身などの鮮魚を店内加工するなど高価格帯の商品構成に特徴を出している 対照的と紹介されているのがイオン「まいばすけっと」の展開だ。プライベートブランド(PB)を中心とした100円以下のペットボトル飲料、ビール飲料。弁当の価格も398円。店舗はオフィスやコンビニエンスストアの跡地を活用し、出店コストを抑えるとある。
都心回帰は職住近接のメリットの反面、古くからの商店街は既に廃れて買い物に窮する地域も少なくない。また、都心のコンビニは既に過当競争が激化した状態にあり、廃店も相次いでいる。両者の狙いは、同じ小型店による都心部出店でも狙うターゲットとそのニーズが異なる。しかし、「生活圏において、各々のターゲットが欲しいものが手に入らないという不便さを解消する」ことに勝機を見出しているのだ。
「変わらなければ生き残れない」。かつては「小売の王様」と呼ばれた百貨店。その一角であり、バブルの頃に華々しくデビューした有楽町西武が、12月1日から最後の売り尽くしセールを始めた。
市場環境は刻一刻と変化している。確実に日本の人口は縮小し、高齢化し、生活圏も狭くなってきている。その中で、日本市場で力をつけて、新たな成長市場である中国を目指す動きもある。一方で、高齢化した顧客に寄り添う動きもある。狭い生活圏の中でのニーズを拾う動きもある。ディスカウントストアとスーパーの業界は、生き残りを賭けて狙いを研ぎ澄まし、得意技を磨いて、確実に姿を変えつつある。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。