仕事・キャリアにおいて「先が読めないから行動できない」というのは言い訳です。まずは行動してみないから、先が見えてこないだけの話です。7割読めたらサイを投げよ!
◆不測の状況と葛藤し道を探り当てる=五落
「七で放つ」のは簡単ですが、本人の真価を問われるのはここからです。つまりそこからは、混乱、困惑、不測の出来事のオンパレードです。未知の連続に、「こんなはずじゃなかった!」という場面も多々出現してきます。自分が描いていたプランのそこかしこにひび割れが生じ、あるいは崩れ落ち、変色し、縮小していくでしょう。そうして当初掲げていたプランは5割レベルまで落ち込む状況になります。―――これが「五落」(ごらく)です。ただし、肝に命じてください。これは落ち込んだように見えるだけです。
「五落」という背丈まで生い茂る草むらの中、素手で草を掻き分け、投げ倒し、道を探っていきます。どれほどの長さかわかりませんが、そうした混沌をくぐり、修羅場をくぐると、やがて広い丘に出ます。
その丘には、さわやかな風が吹いていて、ふと足元を見ると花も咲いています。そんな足元の花に気づくくらいに心に余裕ができたとき、振り返ってみてください。おそらく事を起こす前までの自分を、冷静に眼下に見下ろせるはずです。その到達した丘は、当初自分が計画した以上の高みになっていることが多く、12割レベルというのが実感値となります。―――それが「十二達」(じゅうにたつ)ともいうべき境地です。
◆過去のことがすべてつながる「十二達の丘」
満足のいく仕事人生を築いていくにはさまざまな要素が必要になりますが、最も重要なものは「自分を試す勇気」と「状況をつくりだす力」ではないでしょうか。わかりやすくいえば、リスクを恐れず、常に行動で仕掛ける。そして、自分なりの正解をつくりだすことです。
動いていけば、いくほどに自分の視界はどんどん開けてきます。Aという山を目指していたが、状況をつくりだすうちにBの山にたどり着くこともあるかもしれません。ですが、たぶんそのときあなたはBの山頂に立ってこう思うでしょう―――「あぁ、Bの山もまんざらではない。いい山だ」と。そして遠く向こうに見えるAの山頂をなつかしく眺めるでしょう。
仕事の成就やキャリアの進路に、これしかダメという唯一無二の正解はありません。人はゆらぎながら成長していく動物です。ひとたび何か事を起こすと、自分を取り巻くいろいろな条件、制約、都合などが複雑な力学を伴って、自分に向かってきます。そうして押し合いへしあいしながら、キャリアの道筋はつくられ、方向が自分の中で固まってきます。
どこまで行っても不安は付きまといますが、自分らしくという思いに根ざしていればそのプロセスもまた楽しめるものです。自分らしく、不測の状況と葛藤して、行き着いた先が自分の居場所であり、そこに充実感を覚えるのであればそれは大正解を勝ち取ったということなのです。
次のページ◆ゼロをイチにさえすれば、やがて百にも千にもなる
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2009.10.27
2008.09.26
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。