アジア最大級の家電・IT見本市「CEATEC JAPAN2010」が5日から幕張メッセで開幕したが、「アップル対抗」をあらわにしたともいえる、電子書籍端末やスマートフォンが実に面白い動きを見せている。
一方、より、南の絶海の孤島「ガラパゴス島」的な展開を見せているのがスマートフォンだ。
iPhone一人勝ちを許すまじと、Android OSを中心とした後続スマートフォン勢が世界的に猛追をかけているが、日本市場でもまた、特徴的な動きが始まっている。
10月5日の日経新聞の記事だ。
<なじみの機能搭載 赤外線・メール入力… auの新スマートフォン iPhone対抗>
記事には11月に発売されると発表されたAndroid OSの新機種「IS03」に関して、タッチパネル式液晶画面採用は当然ながら、<「おサイフケータイ」やワンセグなど日本でなじみの機能を使えるようにし、世界規格の米アップル製人気機種「iPhone(アイフォーン)」に対抗する>とある。加えて、<メールの文字入力も従来の携帯電話向けソフトを活用><音楽配信の「LISMO!」などを刷新>と<(一般的な)携帯とスマートフォンの長所を1台に融合させた」(田中孝司専務)>との自信をにじませている。
auだけではない。かなりの投下量(GRP)で繰り返されているdocomoのスマートフォン・XperiaのCM。渡辺謙とダースベーダーの対談でも、「信じられない。あなたがデコメだなんて」 との台詞に、すかさず「スマートフォンでも、iモードのメールアドレスが使える! 」とのテロップが被る。
ガラパゴス島では外来種に島固有の生物が追われて生息域が狭められてしまっている。それに追い打ちをかける地球規模の環境変化で、特に海イグアナが主食とする海草が海底から姿を消しつつある。飢えた海イグアナは陸に上がり、本来別種である陸イグアナの生息域に進出した。陸イグアナはサボテンや実や花が落ちてくるのを静かに待って暮らしているのだが、そこに海底を自由に動き回るためのかぎ爪を持った海イグアナが進出してきた。海イグアナは自由にサボテンに登り、実や花を食べる。群れの雄を追い出し、雌と交雑して、やがて海でも陸でも自由に活動できる「ハイブリッド・イグアナ」が誕生するようになった。
日本の従来の携帯電話。世界の中では日本独自仕様であるが故にガラパゴス携帯、「ガラケー」と揶揄されたが、今、外来種に終われて「ハイブリッド」が誕生しているように思われる。スマートフォンにケータイの機能を搭載し、利便性を高めているのだ。生き残るために。
ただ、ハイブリッドには、少々心配なことがある。イグアナに限らず、多くの種で交雑は起こる。しかし、その多くには生殖能力がなく一代限りとなる。ハイブリッドイグアナも現在の所、生殖機能が備わっているかは不明であるという。スマートフォン戦争の「徒花」になる可能性もある。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。