中国家電最大手の海爾集団(ハイアール)の名が連日、日経新聞の紙面に登場している。「ガラパゴス」と揶揄される日本の家電市場で、その存在感を増している証左である。
ECサイト最大手の楽天が、同サイトのヒット商品ジャンルを独自の切り口で集計した「楽天市場2009年ヒット商品番付」を2009年11月26日に発表した。前頭三枚目に「家電の二極化/高価・安価」がある。楽天は「価格破壊による安価化と消費者のこだわりによる高価格化の2極化が著しかった」と分析。安価については「メーカーの宣伝費や卸問屋の中間マージンを徹底的に削減したサードパーティモデルが堅調に推移」とし、高価は「高額ヘッドホンのヒット等、商品機能と消費者ニーズがマッチすると高価格でも売れるということが示された」という。この経済情勢では二極化のうち安価の方により拍車がかかることも想像に難くない。そして、白物家電においては、コストリーダーシップ戦略にモノを言わせることが可能な、世界最大のメーカー・ハイアール製品で占められるかもしれないのである。
同9月15日の日経新聞企業2面には「住設大手、中国を買いたく 住生活G ハイアールと合弁 パナ電工 省エネ住宅を開発 マンション需要増に照準」という記事が掲載されている。INAX、トステム、サンウェーブなどからなる、住生活グループとハイアールの合弁は、サッシやトイレを爆発的に成長する中国で販売するための施策であるという。もはや成長余力のないこの日本市場、この島を出て大きな市場で戦う姿勢は頼もしい。しかし、私たちが日本で買いたい、もしくは買える商品が海外企業の製品ばかりになってしまったら、それはやはり寂しい気がする。
企業が思っている以上に、日本の消費者心理は小さく縮んでいるのではないか。ガラパゴスのイグアナが身体を小さくしてしまったように、「身の丈消費」に動いているのではないだろうか。そんな消費者の姿や心理に、もう少し目をこらすべきだと思う。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。