マクドナルドと吉野家の「面」と「点」

2010.09.10

営業・マーケティング

マクドナルドと吉野家の「面」と「点」

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

 8月の月間全店売上高が過去最高を記録した日本マクドナルド。一方、牛丼戦争において「一人負け」と言われた吉野家は7日、新メニューで反撃ののろしを上げた。両者の戦略を比較してみよう。

 吉野家の今回の「腹の括り方」は、牛丼業界において、もはやリーダーは「すき家」「なか卯」を運営するゼンショーであり、自社はチャレンジャーのポジションであるという認識を自ら受入れたことにあるのだろう。恐らく、同社にとっては最も認めたくない事実であったことだろう。
 チャレンジャーの戦い方の基本は「差別化戦略」である。差別化のための基本は「選択と集中」だ。「選択」とは「やらないことを決めること」でもある。ダメな差別化戦略は、「やるべきこと」を選択したつもりで、「やるべきでないこと」まで選択していることが多い。また、「集中」とは「選択した中から、ピンポイントに絞ること」である。同じくダメな例は、「選択しても集中できていない」という差別化戦略である。
 吉野家は今回、メニュー開発やターゲット顧客の選定において、やらないことを決め、やるべきことをピンポイントに絞った「点」の戦略に切り替えたと思われる。あとはどれだけ、それをブレずに実行していけるかにかかっている。

 外食冬の時代といわれる今日。「面」で成功しているマクドナルドも、「点」に切り替えた吉野家も、「徹底すること」が生き残りに欠かせない。それは外食産業だけの話ではないのは明らかだ。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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