「健やかなる君よ~♪」と元気が出そうな、どこかで聞いたことのある歌声が応援のメッセージを送ってくれる大塚製薬・カロリーメイトのCM。共感者も多く、大評判である。
<カロリーメイト テレビCM 健やかなる君へ(夏)篇>
http://www.otsuka.co.jp/adv/cmt/index.html
CMを印象的にしているのは、ここ数年キャラクターとして登場している「イエローマン」だ。衣装はカロリーメイトの商品パッケージと同じ真っ黄色に太めの黒いラインが印象的な上下セットのジャージ。1978年公開の映画「死亡遊戯」でブルース・リーが着用していたトラック・スーツと同じデザインなのは有名な話。それを着てイエローマンに扮するのは個性派俳優の荒川良々である。
昨年までのCMではイエローマンが、瑛太や森山未來、香里奈らが食事を取り損なうシーンで、カロリーメイトを少し意地悪な様子で見せつける「そこは持っとかないと。篇」がシリーズで制作されていたが、「健やかなる君へ(夏)篇」では、ビジネスシーンで様々な不条理に翻弄される若手ビジネスマンを、イエローマンが優しく応援する。応援歌ともいえる「健やかなる君よ~♪」の歌声の主は近藤房之助。アニメ・ちびまる子ちゃんのテーマソング、おどるポンポコリンの「パッパパラリラ~」の人である。
さて、そんな一連のカロリーメイトのCMには大塚製薬のどのような意図が込められているのだろうか。
カロリーメイトの現状を知ることができる面白い調査が先頃発表された。インターネット調査のマイボイスコム株式会社による自主調査「バランス栄養食品(第3回)」である。
http://www.myvoice.co.jp/biz/surveys/14402/index.html
同様なテーマで各調査会社が自主調査を行っているが、各調査とも毎回、利用経験、利用意向の1位2位を占めるのは大塚製薬の2商品「カロリーメイト」と「ソイジョイ」である。今回のマイボイスコムの調査では、「1年以内で最もよく利用したバランス栄養食品」は、「カロリーメイト」が18.7%、「ソイジョイ」が15.9%とトップ2となっている。
重要なのは、その集計には、「ここ1年では利用したことがない」が50.8%いることだ。利用者中で見れば、カロリーメイトとソイジョイを合わせればシェアは70%近くなり、「クープマンの目標値」で考えれば大塚製薬が絶対安定的な首位を占める「独占的市場シェア」を取っていることになる。
未利用者が半数強いる。E.M.ロジャースの普及論で考えても利用者が半分ということは、各社のシェアを足し上げても、取り込めているのは革新的採用者(2.5%)、初期少数採用者(13.5%)、初期多数採用者(34%)までに留まっているのだ。最後に動き出す採用遅滞者(16%)はともかく、まだボリュームのある後期多数採用者(34%)の取り込みは必須である。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。