サッカーワールドカップ南アフリカ大会では、代表チームのベスト16進出に日本中が沸いた。しかし、その熱気をワールドカップ後も持続させるためには、草の根からの取り組みが不可欠。フットサルチーム、フウガ東京のイベントに参加した筆者は、そんな草の根から盛り上げようとする人々の姿を見た。 [郷好文,Business Media 誠]
同大会はサッカーの天皇杯と同じく、全国のフットサル地域リーグで勝ち残ったチームと、シードされたFリーグチームとのトーナメント戦。日本一達成後、10人も選手を引き抜かれたが、2009年の関東リーグ(チームが所属する地域リーグ)で優勝した。
「フウガは強くなるために外から戦力を入れません。『FUGAでうまくなって、ここで育ちたい』という選手ばかりなんです」
2001年にサッカー強豪校、都立駒場高校と暁星高校のサッカー部メンバーが創設したフウガは、2004年に関東リーグに昇格。2007年にリーグ優勝、以来3年連続優勝。「強さの原動力は何ですか?」と聞いてみた。
「やっぱりチーム一丸で戦うところです」とは“アゲ”こと揚石創選手。
こんなエピソードを聞いた。フウガで10番を背負うテクニシャン、渡井博之選手は静岡でプレーしていた。ある日ふらりと「フウガでやりたい」と単身上京。仕事も決めず、家もないままにやってきたという。
Jリーグで時折見かける、選手交代を命じられて“爆発”する選手は醜い。チームのメンバーを信頼していれば、そんなことにはならないはず。フウガではそんなことにならない。その魅力や強さの源泉は“1つ”であるからだ。
地域を盛り上げて
チームを支えるのは、ボランティアと地域社会。今回のイベントの企画立案者は法政大学4年生の斉藤亜裕美さん。7人いる学生スタッフの1人だ。
「フットサルクリニックやTシャツイベントを通じて、墨田区のみなさんに応援してもらいたいんです」
フウガの前身、FUGA Meguro時代からのファンである斉藤さんは、学生スタッフ募集のお知らせを見て参加。大学で「農業で地域活性化」「高齢化が進む多摩ニュータウンの活性化」など、地域社会の再創造をテーマに活動してきた彼女には強いリーダーシップがある。営業スタッフから企画担当となると、ネットワーク作りの才能を発揮して、墨田区観光協会や地元中小企業などに賛同者の輪を広げた。今回のイベントを協賛する久米繊維工業とはTwitter経由で知り合った。同社は太腹に“勝”Tシャツを提供、イベントPRにも参加する。
そんなフウガの実績と結束を認めたのが墨田区。フウガをホームチームに迎えた墨田区総合体育館では、7月24日、8月14日、12月4日(いずれも土曜)に関東リーグの試合を開催する。そして、地域スポーツクラブのスポーツドアあずまや両国倶楽部を通じて、フットサル教室も開く。
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