ロッテの「幼児向けガム」の発売に隠された意図とは?

2010.07.13

営業・マーケティング

ロッテの「幼児向けガム」の発売に隠された意図とは?

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

 圧倒的なシェアを確保している業界のリーダー企業は、その権勢を保つためには何をしなければならないのか。例えば多くの人のポケットやカバンに1つぐらい忍び込んでいる「ガム」を例に考えてみよう。

 幼少期からの「ガム経験」の減少がガム離れの原因になっているのか、その因果関係は証明できない。しかし、ロッテが幼児用のガムを発売した意図は、幼児期からの「刷り込み」にあるのは間違いないだろう。
 子どもが主体的に購入する機会が減少しているため、商品の使用者ではなく購買決定の関与者(DMU=Decision Making Unit)ではなく、母親に購入させて子どもに食べさせるという戦略だ。何よりロッテは「歯に良いガム」である「キシリトール」で絶対的な信頼のポジショニングを築いている。1997年に当時の厚生省が食品添加物に指定時に、それを遡ること20年前から砂糖の代替甘味料としてキシリトールを研究していたロッテは事前に商標登録を済ませて抜群の認知度を獲得しているのである。

 市場縮小という変化を読み取り、ターゲットのニーズに合わせた商品作りを行う。流通チャネルや顧客の購買行動の変化にも対応すべく、DMUを巻き込んだ将来的な布石も打つ。ロッテの「幼児向けガム」の展開から、リーダー企業の動き方のお手本が見て取れる。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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