講談社が革命の先陣を切った。同社は、ベストセラー作家・京極夏彦氏の<新刊>を、電子書籍で、半額で配信する。日本でも、書籍の概念が大きく変わっていきそうだ。
DropBoxなどの共有機能を使えば、誰かと共有することもできる。このあたり、微妙な問題を抱えているようにも思える。例えるならリアルな紙の本を買って、その内容がすばらしいから「お前も、これを読んでみろ」と誰かに回し、それがどんどん回されていく状況と似ているといえるだろう。
この行為にはおそらく、法律的に何の問題もないはずだ。しかし、データ化された書籍(あるいは書籍のデータをといった方が良いか)を、知り合いにどんどん送るのは、法律的にちょっと問題があるようにも思える。このあたりの法律的問題については、詳しくないので、どなたかご存じの方がおられればご教示いただければありがたい。
アメリカで繰り広げられるデファクト争い
アメリカでは既に電子書籍が普及を始めている。前段で提起した問題点もクリアされた状態での普及である。しかしながら現時点では、電子書籍の今後については、予断を許さない状況となっているようだ。アマゾン、アップルそしてバーンズ&ノーブルがそれぞれ、自社のデバイスによる囲い込み戦略をとっているからだ。
すなわちアマゾンならキンドル、アップルはiPad(&iPhone&Mac)、さらに書店最大手のバーンズ&ノーブルも、自社端末ヌックでしか読めない電子書籍を発行している。
歴史に学ぶなら、こうしたユーザーにとって何のメリットもない争いは、いずれ消えてなくなるはずだ。ユーザーにとっての利便性を考えれば、恐らくはアマゾン・キンドルとアップル・iPadの互換形式といった当たりに収まるのではないだろうか。
講談社は先手を打ったのか
アメリカの状況が確定していないのだから、日本はまだ様子見でも良かったのかもしれない。しかし、講談社は先手を打った。その背景にあるのは、同社ならではの大局観だろう。ユーザーの利便性とテクノロジーの進化をあわせて考えるなら、本はいずれ、電子化せざるを得ない。
そんな判断が、上層部でなされた。
結果、発売される電子書籍は、従来の紙の『本』の概念を根底から覆す。まずモノとしての形がない。電子書籍そのものは、目に見えないデータでしかない。とはいえモニターに表示されるテキストは、紙よりも読みやすい可能性が高い。テクノロジーのおかげである。
価格も変わる。京極夏彦氏の新作は、書籍版で1700円。これが携帯電話版なら、1章100円であり、全章分を買うなら500円となる。iPad版は900円だ。携帯電話なら章ごとに買える、という画期的な販売方式も、従来の本の概念を覆すやり方だろう。
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