大丸京都店が大改装して作ったコーナー『うふふガールズ』。鳴り物入りでスタートした売り場をみると、意外な事実が見えてきた。いや、ほんと、女性向けマーケティングは難しい。
むしろ目につくのが、F2層だ。「うふふ」というより「うぷぷ」である。しかし彼女たちが品定めする表情は、真剣そのもの。これは、と感じる商品があれば「人には渡しませんわよ」的キープモードに入る。
耳を澄ませば聞こえてくるのは「安いわよねえ」である。推測するに、大丸が設定したであろうSTPとは、いささかズレがあるようだ。とはいえ、ともかく、賑わっているのだし、売れ行きも上々の様子。これはこれで成功ということなのだろう。
ユニクロが変えたファッション概念
『うふふガールズ』を見ていて、何か既視感があることに気がついた。ユニクロである。立地によって差はあるようだが、ユニクロは今や老若男女の誰もが服を買いに出かける場となっている。
とびっきりのセレブたちはともかくとして、ファッション命の若い人も、我々のようなおっちゃん世代から、もう少し年配の方たちまでが、楽しそうに洋服を買っている。ユニクロが普及するまで、こんなにごったな層が楽しそうに買い物をする服屋さんはなかったはずだ。
年齢を気にせず、好きな服を買う。しかも、それほど気合いを入れる必要などまったくない。何しろ安いのだから。ちょっとぐらい冒険してもいい。似合わなかったら、着なければいいだけの話だし、ぐらいのノリで付き合えるファッションアイテムがユニクロなのだろう。
だったら、楽しまなきゃと思う人が増えたのも不思議はない。
情報誌世代の意識
そこでロールアップに戻る。このスタイルを仕掛けたファッションクリエイターは、まさかアラフィフ世代までがロールアッパーになるとは思っていなかったのではないか。しかし、今どきのアラフィフは(アラフォーはもちろんだが)情報誌世代であり、情報感度は高いのだ。
すなわち、流行り物にめざといのである。そして団塊世代について、彼らの認識年齢は実年齢より10歳は若いといわれたが、その下の世代ともなると20歳ぐらい若い感覚をしているようだ。
いわはF1とF2の溶融現象が起こっているのではないだろうか。その結果が『うふふガールズ』の売り場で見られる客層となった。おそらく当初設定されていたであろうセグメント、ターゲット、ポジションの中で、ターゲットが想定外の人たちをも呼び寄せたということになる。
とりあえず賑わっているから良し、とすべきなのか。それとも、本当に来て欲しいF1層が入りづらくなるから困っているのか。大丸さんの現状認識を聞いてみたいところである。
おまけ:もっと年配の方だって
ちなみに母の日のプレゼントを買いに、息子と『うふふガールズ』に赴いたときのことである。売り場にはロマンスグレーの見事なカップルがおられた。その男性の方が曰く「ちょっと、こんな若い人の服を、あなたは着るのかね?」、女性の方が答えて「いま、着替えてみるから。似合っていれば、歳なんて関係ないでしょう」
その通りである。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2015.07.10
2015.07.24