ユニクロが変えたお買い物

2009.12.02

営業・マーケティング

ユニクロが変えたお買い物

竹林 篤実
コミュニケーション研究所 代表

日本全体が不景気の中で、ほとんど一人勝ちといえるのがユニクロ。ユニクロといえば、そのビジネスモデルやマーケティングが注目されるが、その真の姿は偉大なる変革者ではないだろうか?

普段着やカジュアルウェアなどは基本的にユニクロでまかなってもらう。すなわちすべての日本人が、生活時間の半分ぐらいはユニクロを着て過ごすような世界を創りあげる。そんなこと、ひと言も言ってないけれど、きっとそうだと思う。

商品戦略とイメージ戦略の連動

もちろんユニクロがバリバリにファッショナブルかというと、それはさすがに「?」が付くことは否めないだろう。だからといって今やユニクロを「ださぁ〜」などとけなす人も決していないはず。これがユニクロの恐ろしさなのだと思う。

何を言いたいのかといえば、ユニクロはそういう風に日本人の意識を変えてしまったのだ。

これぞ巧みなマーケティング戦略のなせる業。価格の割に極めてクォリティの高い商品を提供し続け、同時に地味だけれども「それ欲しかったんだ」といわせるファッションアイテムも出してきた。進化したフリース、女性から圧倒的な支持を受けたブラトップ、足長ジーンズにヒートテックなどがそうだ。

それら差別化要素を備え商品力そのものが強い商品を、さらに巧みでカラフルなイメージ広告でお化粧した。その結果、今やほとんどの人が「とりあえずユニクロを着てさえおけば、まあOKなんじゃないの」ぐらいには思っているはずだ。

ユニクロは洋服を買う意識を変えた

ユニクロの大きな特徴が二つあると思う。アンケート結果にあった通り、シンプルなデザインと豊富なカラーバリーエーションだ。これがユニクロのすごさの中核である。

シンプルなデザインとは、誰にでも合いやすいということ。より正確に表現するなら、誰が着てもまず大きな違和感が出ない、ということだろう。着るがわからすれば、これは大いなる安心感につながる。すなわちユニクロで買う限り、その服が合うかどうかをあまり悩まずに済む。

だから、ユニクロ以前なら自分の普段着など自分で買ったことなどあまりなかったか、あるいは近所のスーパーで何となく似合ってないんだけれど仕方ないかと我慢していた人たちが、ユニクロで自主的に自分の服を買うようになった。どれを買っても似合う安心感に支えられて服を買うのは、とても楽しい経験となるのだ。

しかもユニクロのお店はカラフルで目に心地よく、混んではいるけれど店員さんは元気良くて愛想も良くて、何となく居心地の良い空間となっている。いろんな色が安く手に入るのなら、ちょっといつもとは違う色を買ってみようかという気持ちにもなる。

このカラーバリエーションの豊富さが、決定的なポイントとなっているのだと思う。なぜなら、ユニクロ以前には、カラーコーディネイトを楽しむ(楽しめる)人は、すごく限られていたから。ユニクロ以後は「いろんな色を着て楽しんで良いんだ」という開放感を多くの人が感じるようになった。

しかも徹底的に安いのだ。そして品質もそこそこ優れているのだ。シンプルなデザインとカラーバリエーションを安価に楽しめるファッションの世界はユニクロ以前には存在しなかった。それをユニクロが一社で創りあげてしまったのだから、一人勝ちになって当然だと思う。

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