日本マクドナルドがカフェ市場の完全制圧に乗り出した。ファストフードの強大なるコスト・リーダーの本格進出は、この後のさらなる大胆な展開も予感させる。
プロモーションにも注力している。
<マクドナルドがカフェメニューを開始 試飲キャンペーンに800人行列>(J-CAST)
http://www.j-cast.com/mono/2009/11/03053112.html
無料コーヒーで今までマクドナルドに来店しなかったカフェ客を呼び込むのはもはやお手の物だ。無料に慣れてきた消費者も「何か他のメニューも頼まなきゃいけないのかな・・・」という躊躇ももはやなく、新メニューを試しに行ったことだろう。
渾身の新商品(Product)、日本全国を完全制圧する面展開のチャネル(Place)、800人を集客する無料試飲キャンペーン(Promotion)とくれば、最後に残されたマーケティングの4Pの一つ、価格(プライス)が気になる。
<決め手はもちろん、マクドナルドならではの“お手ごろ価格”。一番安い「カフェラテ」のSサイズが190円、高い「カフェモカ」のMサイズが300円とリーズナブルな価格に抑え、200円台後半~400円台がメインのカフェチェーン店との差別化をはかった>と東京ウォーカーは分析している。しかし、「差別化を図った」という割にはその価格差は2~3割安いレベルに留まっているのではないだろうか。
新製品で一気に市場のシェアを取ろうと思った時には「ペネトレーション・プライシング」を取るのが基本だ。場合によっては収支トントンも辞さず、競合が真似できない圧倒的な低価格を設定。シェアを取ったら規模の経済と経験効果で原価低減を図って収益を出すのである。
そう考えると、競合比2~3割安はまだまだ、圧倒的なコスト・リーダーのマクドナルドなら下げ余地はあるように思えてしまうのだ。
すぐに値下げをするのではないだろうか。そんな予感がする。
前例があるのだ。今年3月に発売開始して人気メニューとなった「マックホットドッグ クラシック」。発売した月内にすぐに220円を190円に30円値下げ、2個とまとめて買うと330円(1つ165円。55円引き)という価格改定を行ったのである。今回のマックカフェメニューで再びそのような展開をしないとは断言できないのだ。
マクドナルドのドメインは「ハンバーガーレストラン事業」である。その事業ドメインでは絶対に負けないリーダー企業だ。「カフェ」はドメインではない。だが、ドメイン拡張をしても、必ずマクドナルドはそこでもリーダー企業となるだろう。その時、既存のカフェ市場のプレイヤーはどうなるのか。
ちなみに、筆者は頑なにスタバ派である。そうした強固なファン層だけを相手にするニッチャーとなるのか。
マクドナルドが根こそぎする日本のカフェ市場を考えると、少々背筋が寒くなるのは筆者だけであろうか。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。