全国で市民病院問題が噴出している。すでに廃止を決めた自治体、大幅な規模縮小を図る自治体がある。そんな中、民間移譲での再生を企画、自ら再選挙に打って出ることで信を問い、強力に改革を進めているのが樋渡武雄市長だ。その革新的な改革プロセスを紹介する。
~特集インタビュー
「日本初、市民病院、民間移譲実現への道のり」完~
『武雄市 関連リンク』
武雄市:http://www.city.takeo.lg.jp/
武雄市長ブログ(武雄市長物語):http://hiwa1118.exblog.jp/
武雄市市民病院:http://www.city.takeo.lg.jp/15/40/000423.html
【Insight's Insight】
千葉県銚子市では市民病院が閉鎖された。大阪でも松原市民病院が閉院となった。市民病院存続は今や、全国的な問題となっている。確かに市による病院運営には非効率な面があることは否めないだろう。
しかし、地域の救急医療を支えてきたのが市民病院であることも、間違いのない事実だ。その地域医療の核の一つである市民病院閉鎖のしわ寄せは、どこに行くのか。市民病院に頼るしかない弱者だろう。
今回のケースで、なぜ樋渡氏が市長職を賭してまで市民病院再生にこだわったのか。その理由は弱者の命を守るため、これに尽きる。
決断した責任を取るため樋渡氏は再選に打って出た。この行動力、行動を支える精神力に伺えるのは、言葉本来の意味での『エリート意識』なのだと思う。おそらく自らをエリートと呼ばれることを、樋渡氏は否定するだろう。選良などという日本語訳も、樋渡氏の本質にはそぐわない。
しかし、エリートの定義を次のように変えてみてはいかがだろうか。『たまたま自分には多くの人のために何かをできる能力が備わっていた。そこで持てる力を発揮する場を与えられたとき、自分の人生を他人のために賭けることができるひと握りの人たち』。これがエリートの定義なら、樋渡氏の行動がエリート以外の何ものでもないことを理解いただけるはずだ。
樋渡氏に続くエリートを、どれだけ輩出することができるのか。これからの日本の有り様は、本当の意味でのエリート育成にかかっている。そんなことを今回の事例は強く感じさせた。
◇インタビュー:竹林篤実 ◇構成:竹林篤実
◇フォトグラファー:安住羊助 ◇撮影協力:アンジュウ写真館
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FMO第28弾【佐賀県武雄市長、武雄市立武雄市民病院】
2009.10.29
2009.10.22
2009.10.15
2009.10.06