~高度成長からバブルを駆け抜け、さらなる未来へ~ 1980年~90年台にかけての日本経済のバブルが膨れ上がって破裂前後の頃の、筆者のドロドロの商社マン生活の実体験をベースに、小説化しました。 今も昔も変わらない営業マンの経験する予想を超えた苦楽物語を、特に若手営業マンに対して捧げる応援メッセージとして書きました。
「次の漁まで待ってけろ。支払い条件は大漁翌月末現金払いだった
べな」
といわれた話であった。
国は越えても今回のそれも似たような話ではないかなと宮田は思っ
た。
「それと、テンションレベラーは絶対必要だ」
関が電話口でさらに熱い口調で続けた。
「お前が足しげく通っている業界トップの日本非鉄金属の鹿沼工場
の生産ラインを思い出せ。
彼らもアルミ箔は戦略商品だ。
特にアルミ箔のためにテンションレベラーを何台も置いているの
はお前も知っているだろう。
アロイコがテンションレベラーを要求仕様に入れていないのは欧
米系の連中の策略に完全にはまっている証拠だ。
初め安いからと飛びついて、後であれもこれも入っていません。
追加でオーダーが必要でございますと言われ法外な高い買い物を
強いられる。
結局プラントの完成するころには欧米系の手口にはまり込んで当
初予算をはるかのオーバーして泣いたお客を俺はいくつも見てき
た。
いまや欧米系手口にはいよいよ限界が来ていると思う。
今回の商談においては、大日本商事/丸の内重工の日本連合は徹底
的に誠実さで勝負しろ。
お前が覚えている範囲でいいから鹿沼工場のラインをきちんと説
明するんだ。
そして、世の中の標準として具体的事例があるということと必ず
必要となる大事な設備であるということを、肌で現場を感じてい
るお前が、お客の立場に立って誠心誠意お前の言葉でしゃべって
納得してもらうんだ。
いいか。絶対必要なものであるから、高い見積もり金額を提示し
ているんだという意識を貫け。
だから、一円足りとて値引きは駄目だ。
ここは強気で行け!」
電話口の関は相当熱くなっていた。
< ようも、まー、一気にまくしたてよったなー。
それもまた簡単に一円たりとも引くな いうとるし >
次号に続く。
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商社マン しんちゃん。 走る!
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