~高度成長からバブルを駆け抜け、さらなる未来へ~ 1980年~90年台にかけての日本経済のバブルが膨れ上がって破裂前後の頃の、筆者のドロドロの商社マン生活の実体験をベースに、小説化しました。 今も昔も変わらない営業マンの経験する予想を超えた苦楽物語を、特に若手営業マンに対して捧げる応援メッセージとして書きました。
宮田は、藤井の発言を受けて丸の内重工主任技師の内村にこう言っ
た。
「内村さん。さっきムハンマド部長に確認したのですが、彼らはこ
の圧延機のアウトプットであるアルミ箔生産の比率を他の製品に
比べて50%以上を狙っているとはっきり言っていました。
彼らの新規プロジェクトの製品ターゲットは明らかにアルミ箔で
す。
今晩中に、丸の内重工の皆さんで、いかにテンションレベラーが
アルミ箔生産にとって重要で必要不可欠かという点を技術面で徹
底的に固めていただけませんでしょうか?
私は、契約面で幾つか難題を受けましたので、東京とやり取りし
て解決策を探します。
明日の朝、再度皆で情報を持ち合って、明日の会議への日本側の
方針決定を行いましょう」
翌早朝、宮田は、昨日飲んだ濁ったイラニアンビールのせいで猛烈
な下痢をしていたが、何とか落ち着いたころあいを見計らって、冷
や汗をぬぐいながら日本側のお昼過ぎを目途に朝早くの電話を入れ
た。
「あー。宮田君? 元気ですかー!
変なもの飲んで下痢とかしていませんかー?
今、関さんに代わりますねー」
電話の向こうでは、弾むような篠原由美子の美しい声が響いていた。
女の勘はするどいなーと思っていたらすぐに関が電話口に出た。
「おう、元気にやっとるか?」
関の声を聞いたとたん、またおなかが痛くなってきて下痢が再燃し
そうになった。
そう言った後、宮田の報告をひとしきり黙って聞いていた関が口を
開いた。
「ば、ばっきゃろー!」
< また、これかいな・・・ >
次号に続く。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
商社マン しんちゃん。 走る!
2009.10.12
2009.10.11
2009.10.09
2009.10.03
2009.10.02
2009.10.01
2009.09.22
2009.09.11
2009.09.08