~高度成長からバブルを駆け抜け、さらなる未来へ~ 1980年~90年台にかけての日本経済のバブルが膨れ上がって破裂前後の頃の、筆者のドロドロの商社マン生活の実体験をベースに、小説化しました。 今も昔も変わらない営業マンの経験する予想を超えた苦楽物語を、特に若手営業マンに対して捧げる応援メッセージとして書きました。
海外貿易ではよく使われる大事な保証状である。
そのL/Cを開設する銀行のことを、「開設銀行」あるいはOpening
bankというのだが、相手国や相手先企業に対して信用不安がある場
合などには、このシステムは輸出者にとって代金回収リスクが減り、
かつ船積書類を持ち込みさえすれば輸出者はすぐに代金回収するこ
とができるので、輸出者にとっても資金負担がないというメリット
がある。
ただ、肝心のL/Cを開設するOpening Bankの格付によっては、銀行
そのものの倒産リスクが発生するので、通常は国際的にも認知され
た著名な銀行を開設銀行として輸出者は輸入者に対して要求するこ
とは貿易実務の基本中の基本であった。
テヘラン店駐在員の藤井氏の取り計らいでその夜は丸の内重工の内
村氏ら一行と共にテヘラン市内にあるイラン料理の店で食事をしな
がら今後の方針を立てることにした。
イランはイスラムの戒律が殊のほか厳しく、外国人であっても例え
ホテルの中でもアルコール類を口にすることは一切許されていない。
藤井に連れられていったイラン料理のレストランにもアルコール類
は一切おいておらず、仕方ないので宮田が注文したのは、アルコー
ル度が0%である「イラニアンビール」であった。
出てきたビールは、運ばれてきたそばから生ぬるく温まっている上
に、ビンの中の茶褐色でどろっと濁った液体の底のほうには何か得
体の知れないものが沈殿しており、ビンを持って振るとそれらが不
気味な浮遊物体となって舞い上がるのが見えた。
< おいおい。 なんなん? これ・・・ >
それを見たほかの皆は、誰もそれを注文することなく、ミネラル
ウォーターを注文していた。
次号に続く。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
商社マン しんちゃん。 走る!
2009.10.11
2009.10.09
2009.10.03
2009.10.02
2009.10.01
2009.09.22
2009.09.11
2009.09.08
2009.08.17