3年ほど前から好例となっている期間限定の「変わり種ペプシ」。10月20日に、今度は「あずき」味が発売されると報道され、ネット上ではブログやSNSで早くも大きな話題になっている。その戦略の意味合いから考察して、一足お先に、そのお味を予測してみたい。
では、販路(Place)はどうか。ここがキモだ。
日本コカ・コーラの力の源泉は自販機である。飲料販売の約4割を占める自動販売機を同社は国内に80万~90万台擁する。対して、サントリーは44万台と劣勢を余儀なくされている。残る戦場はコンビニだ。コンビニで最も重要なのは「棚を取ること」。しかも、数多く、有利な場所をおさえるのが、自販機と異なって競合製品と比較購入される状況においては欠かせない。
棚に並ぶまでにはコンビニ本部のバイヤーが取扱を決め、フランチャイズのオーナーが発注する際に棚に並べる数を決める。飲料において、棚を取るには、「ボトルネックに景品を付ける」「キャンペーン値引き価格の設定」という販促施策がよく用いられる。オーナーが「それなら他のものより売れるだろう」と期待するからだ。
それ以外には、純粋に「話題の新製品」であることがあげられる。それも、「期間限定」であれば、発注が得やすい。定番レギュラー商品から派生した期間限定商品の場合、定番レギュラー商品も同時に棚に並べられることが多い。つまり、変わり種コーラという存在があれば、コンビニという戦場でそれ自体で有利な棚を確保し、さらにペプシネックスなどの定番レギュラー商品の棚も確保できる。これが最大の効果が期待である。
では、その有利な棚確保ができるためにもう一度製品(Product)を見直してみたい。いよいよ「味」についてである。過去の例でいえば、販売実績は公表されていないながら、最も長期間、棚確保に成功した変わり種コーラは「ペプシホワイト」であろう。登場時には各店で3~4フェイス。その後も昨年内は1~2フェイスが確保されていた。期間限定といってもずいぶん長く置かれ、売れ続けたのはやはり、「味」の要素が強かったと思われる。歴代の変わり種の中では最も素直な味、よく仕上がった乳性炭酸飲料であったといえるだろう。
とすると、今回の「ペプシあずき」は、「ブルーハワイ」以来の甘さ強め路線は継承し、さらに「ホワイト」のように甘みの中のクセを取り去って、「しそ」の「和素材」路線で勝負すると考えられる。甘さと「あずき」は「しそ」以上に相性も良さそうだ。製品(Product)の一要素である、商品パッケージを見ると、「着物の地模様のようなデザインを採用し、商品ロゴを縦書きにすることで和の世界を表現した」とのことで、製品コンセプトとの整合もいい。
以上のように考えると、今回の変わり種コーラ、「ペプシあずき」の味は、歴代の中でも飛び抜けて「オイシイ!」はずであると、期待が高まる。・・・のだが、実態はどうだろうか。結果は発売日の10月20日。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。