今回の予想通りに民主党が圧勝した。前回の郵政選挙では、自民党が圧勝した。前回の選挙と今回、共通するのは「ぶっ壊す」ことだ。このトレンドから何を読み取ればいいだろうか。
もちろん自民党が数々の過ちを犯してきたことは否定できない。現在の社会格差、教育格差も自民党政権の元で生まれた現実だ。だから自民党には責任がある。ぶっ壊されても文句は言えないだろう。しかし大切なのは、ただぶっ壊すことではないはずだ。
次もぶっ壊しか、それとも創造か
言うまでもなく「ぶっ壊した」後には、創造がなければならない。今回の選挙で、圧倒的な勝利を収めた民主党がどんな創造劇を見せてくれるのか。まずは、そこに注目することになる。
鳩山(おそらくは新首相)氏が選挙直前に公開した論文「A New Path for Japan」が一部で話題となっている。これが鳩山氏の精緻な思考の結果ではなく、選挙に勝てそうだという高揚感が一気に書かせたテキストであることを祈りたい。
国内政治については、政権政党が変わるのだから、大きな変更があって当然だと思う。今回の選挙で民主党に投票した多くの人が期待しているのは「変化」だろう。筆者もその一人だ。
しかしアメリカ・オバマ大統領も「Change」をスローガンに当選したが、アメリカの対外基本政策は変わっていないのではないか。確かに国債を買ってもらわなければならないから中国に対しては低姿勢に転じている。しかし、それはもっと根源的な「アメリカかくあるべし」というアイデンティティ(それは他者に対する原点となる態度だ)は変わっていないように思える。
このアイデンティティを日本は、あるいは鳩山新首相は、どう導いていくのか。ここが、これからの日本の焦点となるのではないか。どうがんばってみても、海外から食料、エネルギーを輸入しなければ生きていくことはできず、そのためには海外にモノを買ってもらわなければならない日本なのだから。
ぶっ壊すのは、もう終わりにしてもらいたい。強くそう願う。
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