資本主義自体は善でも悪でもない。一人一人が持つ「働くことの思想」によって、この経済システムは方舟にもなれば、泥船にもなる。
繰り返しになりますが、
私は厭世家でも、マネー投資否定者でもアンチ資本主義者でもありません。
むしろ“強い資本主義”と“活気ある民主主義”の両方を望む者です。
そして経済を本来の大義である“経世済民”として、その健全な発展を望む者です。
そのために「働くことの思想」を一人一人の人間の中に涵養していくことが
不可欠だというのが本記事の主張です。
歴史を振り返ってみると、よき時代には、必ず「よきエートス(道徳的気風)」が充満しています。
エートスはどこからか漂ってくるものではなく、
個々の人間の内側から思想・意志として湧き起こってくるものです。
私たちは一個の自律した職業人として、
パンとサーカスとサイコロで日々を送るのではなく、
各自の胸の内に“大聖堂”とは何であるかを求めて働いていきたい。
【お勧めしたい関連読書】
・アンドレ・コント=スポンヴィル『資本主義に徳はあるか』
(小須田健/C.カンタン訳、紀伊国屋書店)
・渋沢栄一『論語と算盤』(国書刊行会)
・野中郁次郎/紺野登『美徳の経営』(NTT出版)
・内山節/竹内静子『往復書簡 思想としての労働』(農山漁村文化協会)
・杉村芳美『「良い仕事」の思想』(中央公論社)
・塩見直紀『半農半Xという生き方』(ソニーマガジンズ)
・西村佳哲『自分の仕事をつくる』(晶文社)
・ディック.J.ライダー『ときどき思い出したい大事なこと』
(ウィルソンラーニングワールドワイド監修、枝廣淳子訳、サンマーク出版)
・村山昇『“働く”をじっくりみつめなおすための18講義』(クロスメディアパブリッシング)
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【マクロの視点を持つ:資本主義】
2009.06.05
2009.06.01
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。