茶系飲料市場が縮小している。そんな中で、飲料業界ナンバーワンの日本コカ・コーラはどのように戦おうとしているのだろうか。
4Pが変わると、ターゲットやポジショニングにも影響する。
リリースではターゲットとポジショニングが次のように述べられている。<「綾鷹」のメインターゲット層である本物志向の30代~50代の男性のみならず、豊富なラインナップで家族を始めとするより多くの方々に、本物の緑茶の味わいをお届けしてまいります>。
おっと、ちょ~っとまった。つまり、フツーな人々に幅広く、150円でオイシイお茶をふるまってしまおうということだ。となると、自社商品内でのカニバリゼーション(喰い合い)が心配されるが、大丈夫だろうか。
大丈夫ではないだろう。「一(はじめ)茶織」。
「中嶋農法で作られたお茶」という独自性が与えられているが、やはり、従来型150円の普通の緑茶飲料であるのは変わらない。どうする「一」。
恐らく、今後、綾鷹の拡販が進めば「一茶織」は徐々に市場からフェードアウトしていくのではないだろうか。その代わりに、「一」の派生商品の拡販を強化する。いや、既に強化されている。
「一(はじめ) 茶花」だ。<ロート製薬株式会社との共同プロジェクト素材である、茶花(お茶の花抽出物)を配合した健康緑茶>という、明確なポジショニングも与えられている。
武者姿のキム兄こと木村祐一のオナカのボタンが毎回はじけ飛ぶCMは、ウエイトやウエストが気になる人という明確なターゲット設定もなされている。
ターゲットとポジショニングがかぶっていないので、綾鷹とのカニバリは回避できているということだ。
飲料業界のリーダー企業でありながら、緑茶飲料カテゴリーではチャレンジャーの日本コカ・コーラ。その縮む市場という環境変化を巧みにとらえた戦略には、脱帽である。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。