こうして生まれたヒット商品!~チロルチョコの成功~

2009.05.25

営業・マーケティング

こうして生まれたヒット商品!~チロルチョコの成功~

笠井 清志

今回は、コンビニなどでついつい手を伸ばしてしまう「チロルチョコ」のヒットの要因をチロルチョコ(株)代表取締役社長 松尾利彦氏に伺っております。 このチロルチョコはどのように誕生したのだろうか。なぜ、誕生してから、これまで人気を誇っているのだろうか? チロルチョコの誕生経緯及び人気の秘密にせまる!

その後、2003年に「きなこもち」が爆発的に売れた。これは、「バラエティパック」の一つであった「きなこもち」を、やはりセブンイレブンのバイヤーが注目したことから、単品で売り出すことになり、大ヒットした。このヒットした要因としては、コンビニエンスストアは、客単価下落が問題視されておりその方策とチロルチョコの単価がマッチしたと考えられる。菓子業界では10億円売れれば大ヒットとされる中、年間17億円もの売上を「きなこもち」は上げていた。

■ 人気を保ち続ける秘訣は


3代目社長松尾利彦氏は、次なるチャネルとしてスーパーも検討しているようである。現在の市場環境を考えると、売上の主力チャネルとなっているコンビ二エンスストアも店舗数が伸び悩み、飽和状態となっている。

また、最近では、コンビニエンスストアの棚を見ると、チロルチョコのサイズの低価格のお菓子もよく散見するようになった。

このような、市場が飽和し、競合商品がひしめく中で、同社が行っている施策とは何か?

その施策は、自社商品ライフサイクルを短縮化させることである。これは、製造個数を制限し、市場に商品を投入する。そしてその商品が売り切れると、新たな商品を投入するというサイクルを繰り返し、商品の飢餓感をだすというものである。

自社商品のライフサイクルを短縮させるといっても、誰でもできるわけでない。次々と斬新な商品を市場に投入できる秘訣を社長は、以下の3点だと指摘する(1)自分たちが「楽しい」、「斬新さ」がないと商品を売らない、(2)設備投資を惜しまない、(3)賞与を完全業績連動型にしている。

(1)に関して、松尾社長は、次のように語っている。

「商品を作る際には、遊び心が必要。お菓子が本来提供しなければならない楽しさや新しさが消費者に評価されているのだと思う。映画、絵画、音楽などすべて同じだと思う、やはり作り手が楽しいか、楽しくないか、気持いいか、気持ちよくないかという想い、愛情、思想、魂がないと消費者に伝わらない。僕自身も、自分でおもしろいと思うものしか商品にしていない。」

また、(3)に関しては、「社員が自発的に商品開発に取組む風土にするために年二回の賞与は完全業績連動型にしている」と語っている。

このような社長の哲学及び組織風土あるからこそ、次々とワクワクするような商品が生まれ、また斬新なパッケージやデザインが生まれるのだろう。このワクワク・ドキドキさせる味・パッケージ・デザインでも消費者に驚きを与え続け、決して飽きさせない。そのための商品企画には膨大な時間が費やされるという。社長の哲学は、社員にも浸透している。社長の確固たる商品哲学、その哲学を受け継いでいる社員。このような風土があるからこそ、次々とつい手を出したくなる商品が生まれる。

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