御社の自信作である商品/サービスを売り出すとき、第一に訴える特長は何か。これはたいへん重要です。 そして、多くの企業が、このポイントを誤ります。
そんなバカな。肝心の“ウリ”を間違えるわけはない。だって私のアイデアと指示でウチがつくったのだから・・・、とお考えですか?
しかし、実際に訴求ポイントや切り口、販売対象を変えただけで、売上が急に拡大したというケースは少なくありません。あなたが伝えたい特長と、お客様が期待している特長は違うかもしれないのです。
たとえば、こんな話。
<事例:1>
レーザー加工や板金加工を専門とするある製作所は、優秀な人材による高度な技術対応力を前面に出して営業していたが、思うように受注ができなかった。
他工場の成功例も参考にして舵を切ったのは、「試作品のスピード納品」専業。社内技術者の柔軟な能力が実現したこのサービスに、中小メーカーからの引き合いが急増した。
<事例:2>
ある化粧品会社は、社長の成功体験に基づいて美容室ルート(来店客へ店販)で高級シャンプー製品の販売を続けたが、不振。
結局成功したのは、同社の顧客で、シャンプーを大量購入して楽天ショップで一般女性向けに販売したある美容室オーナーだった。
<事例:3>
アサヒビールの缶コーヒー【ワンダ】は、それまで「仕事の合間の息抜き用」が長年の常識だった同市場に、「朝専用」をウリとする新コンセプトで広告を展開して大成功(年間1500万ケース出荷)。
現実には、もともと缶コーヒーの40%は朝に飲まれていることが調査でわかった。
…以上はほんの一例です。あなたの言いたいことと、お客様の聞きたいことにズレがあるのはめずらしいことではありません。私のクライアントもご多分にもれませんでしたが、大企業の成熟商品においても例外ではないのです。
だからこそ、ゼロベースで商品を見つめ直すことが必要なのです。また商品だけでなく、ビジネスモデルそのものにも当てはまります。「あなたの会社のウリは?」と尋ねられ、30秒以内で相手に伝えきる“エレベータ・プレゼン”を日頃から準備することも重要です。
こうした知恵や気づきの差で、企業が遠回りをしているヒマはないのが、今のドッグイヤーな市場環境です。
では、なぜ基本的な誤りが頻発するのか。
1・夢中で業容を拡大してきた若い企業にとっては、考え直す必要があるとは思いもよらない基本的な要素であったりすること。
2・マーケティング理論と、現場で必須の「顧客に刺さる」表現との間にある、深い河を渡れる人材が企業内にいないこと。
3・依頼しているコンサルタント氏がマーケティングは専門外か、マーケティング・セオリーは知っていても実践的アイデアは出てこない、あるいは自身がターゲットではない商品だとお手上げなこと。
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