「週刊誌」と聞いて、「派手な見出しと薄い内容」「度肝を抜くスクープ」などをイメージする人も多いだろう。しかし週刊誌の代表格『週刊現代』と『週刊ポスト』が部数を急減させている。紙面の内容はあまり変わっていないような気もするが、なぜ部数が落ち込んでいるのだろうか? [長浜淳之介,Business Media 誠]
「『週刊文春』は、女性に強く女性の読者が半分ですから、目減りしないと言えます。『週刊新潮』は、昔は40歳を過ぎたら読む雑誌でした。今は50歳、 60歳を過ぎたらと年齢層がさらに上がっているでしょうが、昔から高年齢層に強かった。それに対して『週刊現代』、『週刊ポスト』は男性サラリーマンを読者の中心として部数を伸ばしてきましたから、直撃を受けています」
『週刊文春』が女性、『週刊新潮』が高齢者に強い雑誌であるというのは感覚的にも納得できる。病院に行けばこの両誌を置いているところも多く『週刊現代』、『週刊ポスト』はあまり見かけない。統計的に調べたわけではないが、病院の定期購読だけでもかなり差がつくだろう。
『週刊文春』、『週刊新潮』の方が女性にも読まれて読者層が広く、暇つぶしとして手に取る機会が多い。それが比較的部数減が少なくて済んでいる要因なのだろう。
「1990年代初頭のバブルが弾けたころ、サラリーマンの年功序列、終身雇用が壊れて、『週刊現代』と『週刊ポスト』がやってきた『色、カネ、出世』路線が厳しくなってきたということですね。色というのは、風俗を含めての遊び。これがエイズ問題で一気にしぼんでしまった。カネは給料以外のお金を稼ぐ、株も含めてのサイドビジネス。この株がバブルで弾けてしまった。出世は年功序列、終身雇用が揺らいだために約束されなくなった。出世第一主義がバブル崩壊とともに崩れたわけです」
サラリーマンに対する共感があったから売れた
実際に、『週刊現代』の販売部数は1990年代初頭に低迷し、実売50万部を切るまでに落ち込んでいた。
元木氏は、苦しんでいた『週刊現代』の救世主として、写真週刊誌の雄『フライデー』編集長から異動。『週刊現代』編集長に就任し、見事立て直して、4大誌トップの座を一時『週刊ポスト』から奪回してみせた。
「いろんな試みがあったけど、サラリーマンが非常につらい時期だったので、特に中年のサラリーマンを応援しようと、健康不安、生活不安を含めて特集しました。あとはちょうどヘアヌードですね。そういうので『週刊現代』が『週刊ポスト』とともに、もう1度ナンバーワン雑誌になっていくのです」
元木氏の言葉の端々から感じるのは、毎日満員の通勤電車や道路の長い交通渋滞に耐えて働き、明日が今日よりも良くなると信じて家族を支える、サラリーマンたちに対する共感と愛だ。そこにブレがなかったからこそ、元木氏の声は読者に届いたのではないか。
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なぜ『週刊現代』と『週刊ポスト』の部数は凋落したのか?
2009.04.03
2009.04.02