高等学校の新学習指導要領が9日発表されました。 「これで学力低下に歯止めがかかる!」 …少し安易な発想ではないですかね。 過去の検証から新しい施策を考察することは大切です。「ゆとり教育」「脱ゆとり」、教育に携わる自分なりの視点で。
・それを受けて「教科書作成会社」が「教科書」を作り、「教科書検定」にかけたら、(学習指導要領を受けた)検定意見として「ここまでは触れるな」的な注意を多く与えられた。つまり、指導要領のミニマム・リクワイアメントが事実上「教科書の中での歯止め」として機能してしまった。
・その教科書を使用する先生側に「それだけしか教えない」という人が増えた。これには先生側個人の気質による部分もある一方で、“そもそも日本の先生は教科書に準拠して教えるよう指導されている”、“教科以外の執務(保護者対応や教育委員会への報告書の提出など)が以前に比べて格段に増えた”などの事情も(もちろん)ある。
…という結果、事象として表れた現実が「学力低下」(と世の中で叫ばれる風潮)だった、ということになるかと思います。
大切なのは、「ゆとり教育」下でも学力向上は(理念的には)可能だった、そして「ゆとり教育」の理念にはまり、それまでの指導要領では考えられないような「本物の学力」を身につけた人だっている(だろう)、という視点です。
たとえば…
教科書が薄くなった分、「できる子」には「できる指導」をすること、「できない子」には「できない子」にあわせた指導を(時間割上)可能にしたのが「総合的な学習の時間」。これを活用し、様々な展開が期待されました。そして、うまく活用した先生もきっといたでしょう。
しかし、苅谷剛彦教授も似た様なことをおっしゃっているように(確か)…
今までレシピを見て指導してきた「先生」というファミレスのコック型職業に、いきなり寿司屋の握り職人の能力を求めてもできっこないんです。
加えて、「レシピ通りに教えられる能力」も「相手のオーダーにあわせて教える能力」、いずれも素晴らしい能力、ということを認める必要もあります。
わかりますよね?
※後編に続きます。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
検証「ゆとり教育」
2009.03.11
2009.03.11