インターネット時代を迎えて、ネーミングは立ち位置を大きく変えました。購買意向を持つ顧客が、“聞き覚えた”ネーミングを「検索」ワードとして入力し、商品を探すようになっているためです。
人の一生が命名から始まるように、あなたの新商品や新サービスも名前が決まってはじめて市場に流れ、選ばれ、愛されるわけです。そして、ビジネスを進める過程で、誕生した新商品という子供に、ぴったりの名前をつけなければならない状況に私たちはしばしば直面します。
なにしろ現実は、商品が均一の品質を持ち、差別化がむずかしい環境。インターネット上には、商品比較情報が氾濫しています。広告は無視され、POPは売場に掲出してもらえない。こうなりゃ、パッケージ自身が声を上げるしかない。
そんなときに求められるのは、商品が物語を強烈に語りかけ、一度聞いたら忘れない、熱を発するネーミング。それが可能なら、これ以上効率的なプロモーションはないでしょう。知恵は、予算を超える。私は、そう信じています。
しかし、このネーミングというシロモノ。実は、キャッチコピー以上につくりづらい。
私もコピーライター時代、かなりネーミング開発には苦労をしました。ご承知のように、当然ネーミング案の開発や選択には独特のノウハウや知識、センスが必要です。しかし、ノウハウさえあれば斬新なネーミング案がポンッと飛び出してくるかといえば、そんなこともありません。
やはり、地道にことばを積み上げていくしかないのです。そのとき闇雲に考えていては、いつまでたっても正解には近づけないでしょう。必要なのは、あらゆる方向性や可能性を網羅するシステマティックな思考です。
そのためには、ネーミング・コンセプトを確立してから作業に入ることが大切です。また、別の回答としては、弓削がたどり着いたようにネーミングの開発マニュアルを活用するのという方法もいいでしょう。 そうした「礎石」があってはじめて、腑に落ちるアイデア発想も可能となります。
会議の席上、アドリブで出せるほどネーミングはやさしくありませんし、単純な思いつきではなく戦略的であるべきなのです。
また近年、主流となっているブランディングも、ネーミングが中心にあってこそ戦略が機能していきます。モノを識別する最初のメッセージであるネーミングは、インターネット時代を背景としながら、ずいぶんと大きな役割を担おうとしているわけです。
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