ネットブックとイノベーションのジレンマ

2009.02.03

営業・マーケティング

ネットブックとイノベーションのジレンマ

竹林 篤実
コミュニケーション研究所 代表

ノートパソコンと言えば、今や0円の時代。モバイル通信とのセットでネットブックを買えば、タダになるパソコンもある。当然、売れる。が、ネットブックが売れている背景にあるのは「イノベーションのジレンマ」ではないのか。

イノベーションのジレンマ

メーカーはとかく機能競争に走りがちである。確かに機能の差は差別化ポイントとなる。しかし機能進化があるレベルを超えてしまうと、その価値を理解できるユーザー数ががくっと減ってくる。メーカーの戦略としては高機能化=高付加価値化=高価格化で整合性が取れているが、ユーザーサイドからすれば自分に必要のない機能に価値を認めることはない。

そんな猫に小判状態のモノをあえて高いお金を払って手に入れたいと思わないのだ。このように明らかにオーバースペック=高価格化したマーケットに、思いきって機能を絞り込む代わり、価格も目一杯下げた製品が登場するとどうなるのか。

たとえば中国では単機能3000円ぐらいの電子レンジが爆発的に売れたという話がある。ネットブックが売れている背景には、これと同じメカニズムが働いたのではないだろうか。つまりネットブックは売れるべくして売れたのだ。

そこで気になるのがネットブックもどきでありながら、デザインという価値評価の極めて微妙な部分で攻めてきたソニーの新しいVAIOである。高いデザイン性、故にネットブックより高くても売れるのかどうか。売れるとしたら、誰が買うのか。イノベーターのごく一部しか買わないのではないか、というのが筆者の見立てである。

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