いわゆる5万円パソコンが、意外な層に売れ始めている。ネット接続にほぼ用途を割り切り価格を抑えた「ネットブック」は、もしかしたらブルーオーシャンを開拓したのではないだろうか。
H.Pの戦略的プライシング
5万パソコンあるいはミニノート、もしくは「ネットブック」と呼ばれるノートパソコンの世界でいま静かに、しかし深く地殻変動が起こっている。今週、H.Pは大胆なディスカウントを発表した。つい数ヶ月前に発表した製品の価格を一挙に25%引き下げたのだ。と同時に、上位機種も約20%のプライスダウンに踏み切った。
このプライス戦略は明らかに競合の動きを意識したものだろう。NECが来月早々にも、このタイプのノートパソコンを市場投入すると発表した。NECが発売する『ラヴィ・ライト』は6万円台である。あるいは10月下旬に発売される(もう発売されたのかな)東芝の『NB100』は7万円台半ば。この日本メーカー製ネットブックにぶつけるためのプライシングが、既存機種の20%ダウンなのだ。
性能はドングリの背比べ
これで先行する台湾メーカー、引き続いて参入したH.PとDELL、さらにようやく追い付いた日本メーカーといわゆるネットブックの世界にノートパソコンの主要プレイヤーが出そろったことになる。(マカーの筆者としては、Appleがいつ出すのかがとても気になるところだけれど)。
とりあえずNEC、東芝が出した時点で各社のターゲティングが微妙に異なっていることが浮き彫りになった。ターゲティングは当然、バリュー/プライシングのバランスに反映される。現時点でもっとも大胆な割り切り方をしているのが、H.Pだろう。質感の高いアルミボディで5万円を着るプライシングの価値観は高い。
ビジネスマンの2台目ユースとして限定された使い方をする分には、これで十分過ぎるぐらいだ。そして2台目ユースなら、スペックよりも価格と質感が何より選択基準になるように思う。
各社の製品を比べてみるとスペックに違いはある。たとえばハードディスク容量やその型式(HDDかSSDか)、バッテリーの持ちやディスプレイサイズの微妙な違いなど。しかし実際のところそうした差異化がどれだけユーザーにアピールしているのだろうか。ほとんどドングリの背比べではないかと思うのは筆者だけだろうか。
100円モデルが開いたブルーオーシャン
それよりもマーケットに明らかに決定的なインパクトを与えたのは、100円モデルだ。通信キャリアと組むことによって、パソコン本体は100円(から高くても1万円以下まで)で売る。ケータイの普及期に使われた販売モデルである。これにより5万円パソコンの購買層に明らかな変化が出ていると日経産業新聞に書かれていた。
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