台湾のASUS(アスース)に続き、デルやヒューレット・パッカード(HP)などの米国大手も参戦し、パソコンにおけるすっかりホットなカテゴリーとなったミニノートPC。ついに富士通が来夏、さらにそれを上回る早さで東芝が10月下旬に国内販売を開始するという。 その両社の意図と効果はどこにあるのだろうか。そして、参入は成功するのだろうか。 低価格ノートの誕生の歴史から現在までを辿りながら考えていこう。
■「ガラパゴス化」との決別の第一歩か?
自社は担保すべき「品質」とは何かを明確にすることは非常に重要だ。日本メーカーは「あらゆるユーザーが満足できる、フルスペックの機能・性能」を目指していなかっただろうか。しかし、それを誰が求めていたのか。
携帯電話を見てみるといい。恐ろしく多くの機能が盛り込まれている。そのうち、いったいいくつを使っているのか。いや、使い方がわかっているのか。もっといえば、機能の存在を知っているのか。携帯キャリアとメーカー各社が一緒になって競い合い、あまりにそれが行き過ぎて日本市場独自仕様が進んでしまった。俗に言う「ガラパゴス化」だ。確かに日本人は小さな機械を操作するのが上手であり、また好きではあるものの、それを本当に求めていたのだろうか。決してそうではない。
そうして考えてみると、日本メーカーが低価格市場に参入するためには、もともとASUSが行い、さらに競争激化の後に各社も努力したであろう、「絞り込み」が必要となるのだ。
必要な機能・スペックを絞り込んでコストパフォーマンスよく実現する。さらに、そこにキラリと光る自社のこだわりを加える。そんな「何でもかんでも盛り込む」というような戦い方ができない中での差別化を行うのがこの市場だ。
厳しい市場でしのぎを削ることは、日本メーカーにとって大きな意味を持つことになるだろう。参入が噂されながら、まだ姿を見せないソニーも、もしかすると今、牙を磨いているのかもしれない。東芝、富士通の検討に期待しつつ、ソニーをはじめとした他の日本メーカーの参入も待ってみたい。
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2008.12.11
2012.01.26
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。