AmazonのOmotenashi

2008.07.10

営業・マーケティング

AmazonのOmotenashi

竹林 篤実
コミュニケーション研究所 代表

キーワードは「おもてなし」。日産TEANAのCMである。スーパーでもいま、ひと手間かけたおもてなしをする店が人気を集めているという。なぜ、今どき「おもてなし」なのか。その答はAmazonにある。

微に入り細を穿つAmazon

来店するたびに、私のことをきちんと覚えていてくれる。フルネームであいさつをしてくれる。前に来店したときに何を買ったかをちゃんと記憶していて、「こういう商品なら、私がきっと欲しがるんじゃないだろうか」と思える新商品を律儀にメールで教えてくれる。

もちろん、お店に行くたびに「こんなのもオススメだと思うのですが」とさりげなく見せてくれる。しかもちゃんと「おすすめの理由」まで説明してくれるのだ。

買い物自体は、とってもかんたんラクチンである。しかも、そのイージーさは時を経るごとにブラッシュアップされている。まるでどうすれば、こちらの手間を省けるかをいつも一生懸命に考えてくれているようだ。おかげで届け先などは一度入力すれば、それでOK。だからといって「今回のお届け先は、こちらでよろしいですね」と確認する手間を省いたりもしない。

その上「もしかして、ギフトになさりたいのでは?」とたずねてもくれる。ギフトにしたい場合は、それなりのラッピングをしてくれるのだ。

発注時には、だいたいではあるが荷物がいつ届くかがわかる。仮に急いでいるなら、スピード配達のオプションで頼めば良い。まさに至れり尽くせり。これだけの接客をしてくれるお店がいま、どれぐらいあるだろうか。だからといって、こちらは一回の買い物に何十万円も使うセレブ客ではまったくない。使っても精々が5000円ぐらいである。

おもてなしの進化形は「Omotenashi」

つらつらと書いてきたのは、いずれもAmazonの話だ。以前のエントリーにも書いたようにAmazonは、「世界最強の顧客主導型企業」をビジョンに掲げている。この企業の偉大なところは、そのビジョンを常に全社で意識し、システムのブラッシュアップを不断に続けていることだ。

もし、あなたがAmazonユーザーなら、何年か前のシステムを少し思い出していただきたい。その頃と比べてみて、いまのAmazonはどれだけ進化しているだろうか。あるいは、角度を変えてこう問いかけてもみたい。この数年でAmazonほど使い勝手がよくなったサイトが他にどれぐらいあるだろうか。

日本には『楽天』がある。が、楽天とAmazonを「おもてなし」という基準で比べてみれば、その差は一目瞭然。違いはいろいろあるが、その差がもっともよく表れているのがメルマガだろう。Amazonのオススメメールはあくまでも控えめである。これに対して楽天のメルマガはしつこく、くどく、うるさい。このあたりは個人的な感覚なので、異なる意見をお持ちの方も、当然いるはずだ。楽天型のオススメ満載メールを好ましく思われる方だってもちろんいるだろう。しかし、奨めるなら特別な一つに絞ってくれと考える人間もいるということだ。

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