未来を予測するのは難しい。しかし、ある程度までなら確定した未来数字もある。人口である。この先の人口推移はほぼ読めるのだ。では2035年の日本はどうなっているか。答は熱海にある。
2035年、日本の年齢別人口構成比はどうなっているか。年少人口(0歳から14歳未満)が約10%、生産年齢人口(15歳から64歳)は約57%、そして65歳以上の老年人口が約33%となる。これはほぼ確定した未来図といっていいだろう。
ちなみに1985年の老年人口は約10%だったから、50年でお年寄りの割合は3倍に増えることになる。一方で年少人口は半分以下になっている。見事なまでの少子高齢化である。
構成比ではなく実数でみるとどうなるか。生産年齢人口は95年にピークを迎え、その数は8730万人だった。その後は安定して減り続け、05年には8460万人となっている。10年間で270万人減ったわけだ。そして、今後も間違いなく減り続けていく。
つまり、この先の日本では人口構成比が変わり、総人口そのものは減るばかりということになる。では、2035年の日本はどんなマーケットになっているのだろうか。そんな先の話がわかるわけない、こともないのである。
なぜなら、現時点ですでに、2035年の人口構成比とほぼ同じ比率になっている都市があるからだ。熱海である。熱海はいま、人口が約4万人強であり、ピークだった65年に比べれば約25%減となっている。そして年少人口が約9%で老年人口が約35%。見事に2035年の日本の姿とだぶっている。
その熱海で近ごろはやっているものベスト3が、スーパーの宅配、鮮度の高い地場の魚に加えて野菜、総菜を扱う小さな市場、そして腕の確かな料理人が開いた会席料理店だという。キーワードは「食」である。
衣食住に遊や学、あるいは医(健)などがこれからの暮らしを構成する重要な要素であることは間違いない。ただし、その重要度は年齢によって変わってくるはずだ。すでに家を確保しているお年寄りにとっては、住はの重要性は比較的低くなる。衣すなわちファッション関係も同じだろう。
ただし食の大切さだけは変わらない。むしろ、食べることは一日の楽しみの中で大きな要素となってくるから、食に対する比重は高まると考えていいだろう。だからといって若い頃ほどたくさん食べるわけではない。仮に老夫婦の二人暮らしともなれば、一食あたりに必要な食材の量は多くはないはずだ。そうすると、少しでいいからおいしいものを食べたいといった欲求はよけいに強くなるのではないだろうか。
熱海で鮮度の高い食材を扱う市場や会席料理店が受けている背景には、こうした状況が読める。そして忘れてはならないのが、お年寄りには宅配サービスが効くこと。もちろん、今どきの60代の方はたいてい免許をお持ちだ。クルマの運転だって普通にこなされるだろう。が、買い物にクルマで出かけるのはきっと面倒なんだと推測する。
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