1億円プロジェクトの水野敬也氏の最新作。処女作「ウケる技術」はベストセラー。DVDの企画、構成を担当した「温厚な上司の怒らせ方」も、マニアからは絶賛されている。DVD「スカイフィッシュの捕まえ方」は私には理解できないエスプリだったが、快進撃を続ける彼が、「成功法則」をエンターテインメント化した本書は、SHIBUYA TSUTAYAの7Fのビジネス書部門で堂々1位となっていました!
本書は、いわゆる「成功法則」本をエンターテインメント化したもので、既に60万部を突破し、テレビドラマ化が決まっているそうです。
一気に読めること、成功のための教えが1つずつ示されることから、あまりサマリー化の意味がないので、サマリーというより、さわりを説明しますと・・・
いわゆる成功者のパーティーに潜り込んだ主人公は、自分との落差に落ち込み、飲んだくれ、目覚める。すると、そこには、関西弁をしゃべるゾウの置物のようなオヤジが寝そべっていて、「覚悟はできとんのか?」と僕に聞く・・・。
彼の名はガネーシャ。インドの神様で、なぜか関西弁をしゃべり、過去の成功者、「ニュートンくん」(アイザック・ニュートン)や、「フォードくん」(ヘンリーフォード)を初めとして、「リンカーンくん」(アブラハムリンカーン)やら、「幸ちゃん」(松下幸之助)などなど、そうそうたる面々をコーチし、成功に導いたらしい。
その彼と、僕は契約し、修行をすることになったのだが・・・。
といったところでしょうか?
この本は、マーケティング的に「うまい」と思わせるポイントが多々あります。
まず、巷には、成功法則本が溢れていて、同じようなことを言っている。過去の偉人の言葉は繰り返し語られる。その実践哲学も。
でも、成功者はそれらの本の発行部数ほど、現れない。
成功法則本を読んでいる人のほとんどは、成功できていないということだと思います。彼らは、成功法則を本当に実践できているのか?と言えば、できていないのでしょう。
「変わりたくて成功法則本を読んでも、変われないよね。でも変わりたいよね?誰か、本当に助けてよ!」そういったインサイトを中心に作られている点は非常に素晴らしいです。
そこで繰り返し語られる成功法則に著作権なんて、ほぼないですよね。過去の偉人がどうした、というお話しを持ってきて、紹介すればいい。
そこからネタを持ってくればいい。ネタには過去の人類の英知が文字通り使える。
「ガネーシャ」が関西弁なのは、児童文学「竜退治の騎士になる方法」のジェラルドが「俺の名前はジェラルド言うねん」という設定にそっくり。
お話しの大部分が僕の部屋の中で展開し、回想で語られるのは、映画「12人の優しい日本人」や、ベストセラー「ソフィーの世界」にそっくり。
ある意味、過去に実績の出ている構造を、うまーく統合できています。
そこを、「温厚な上司の怒らせ方」や、「スカイフィッシュの捕まえ方」で実績がある著者が素晴らしいエスプリでくるんでいる。
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2011.03.18
2015.07.17
THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役
THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。