2019年9月、国連の気候行動サミットにひとりのスウェーデンの少女が出席しました。地球温暖化に本気で取り組まない大人たちに向かって、「あなたたちを許さない」と涙を浮かべながら、怒りのスピーチをしたことを覚えているでしょうか。 16歳のグレタ・トゥーンベリさんの発言は、状況を理解しながらも必要な行動を起こさない各国のリーダーたちの裏切りに対する叱責であり、将来、温暖化の結果に向き合って生きなければならない若い世代を代表した切なる訴えといえます。 SDGsの目標13「気候変動に具体的な対策を」に必要とされる解決策を実現するためには、世界を変えたいと願う若者の発言を心に留め、私たち一人ひとりが行動を起こすことが必要なのです。 そんなSDGsについて、今回は目標12から14までをご紹介しましょう。
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つくる責任 つかう責任
毎年、生産される食糧全体の3分の1にあたる13億トン、価格にしておよそ110兆円もの食べ物が消費者や流通過程、生産段階で廃棄されていることをご存じでしょうか。日本がムダにしている食べ物621万トンは、世界で飢えに苦しむ人たちに援助している食べ物320万トンの、約2倍の量にあたります(2014年環境省調査)。
子どものころ「農家さんが苦労して作ったお米を粗末にしてはいけません」と親から教えられた人も多いはず。しかし今、ゴミ箱には食べ残された食糧が山ほど捨てられているのが実情です。大量消費時代になり、食べ物以外にも身のまわりの機械・道具・家庭雑貨類など、壊れれば修理せずに買い替えるのがあたりまえであり、流行遅れになったものはまだ使えても廃棄し、最新のものに取り換えるのが当然、という考え方が浸透してしまいました。
一方、人びとの生活に欠かせない水に目を向けると、河川や湖沼が自然の力で再生・浄化できる以上の速さで、私たちは貴重な水資源を汚染しています。たくさんの資源やエネルギーを使って多くのものを生産し、それを私たちが大量に消費して暮らしている現代。このままのライフスタイルを続けると、2030年までに地球が2つ必要になるという話もあります。
いまこそ、責任ある消費と生産で持続可能なパターンに変革することが求められているのです。
UN Photo/Philip Teuscher
《私たちにできること》
ひとりの消費者として私たちにできることは何でしょうか。
まず、日々出すゴミの量を減らすことに努めるべきです。生鮮品や残り物も、食べきれない時には早めに冷凍すればムダに廃棄せずにすみます。
次に、物を買うときには、それが本当に必要なものかどうかをよく考えて決断しましょう。購入にあたっては持続可能なものを選択することが求められます。
2020年に東京で開催されるスポーツの祭典で、選手に授与される金・銀・銅のメダルは、リサイクル金属で作られます。「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」の成功は、まぎれもなく私たち消費者の力が結実したものだといえるのです。
気候変動に具体的な対策を
超大型の台風やハリケーン発生によるさまざまな被害が続出するなど、世界中でこれまでにない規模の自然災害が増えています。その主要な原因のひとつが「地球の温暖化」です。CO2(二酸化炭素)などの温室効果ガスが上空を覆い、地球を温めてしまうことで、さまざまな自然災害や生態系への影響が起きているといわれているからです。
1880年から2012年にかけて、地球の平均気温は摂氏0.85度上昇しました(環境省作業部会第5次評価報告書)。これ以前の1200年間では、平均気温がほとんど変化していないことを考えると、この数字は極めて大きいと言わざるを得ません。この100年の温暖化は明らかに自然現象ではなく、二酸化炭素の排出による人為的な要因によるものです。
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