「分析」 という言葉に含まれる2つの漢字、 「分」 および 「析」 はどちらも、物事を分けるという意味があります。
したがって、
「物事を分析する」
と言う時、それは、
物事をさまざまな視点で切り、
2つ3つ、あるいはそれ以上に細かく分けていくことで、
物事の成り立ち(構成)や仕組みを知ろうとすることです。
そして、「分析」をどうやるのかについては、
「顧客満足度アンケート」
などの調査結果がどのように集計・分析されるのかを
考えてもらえばわかりやすいでしょう。
たとえば、製品の機能についての満足度調査データは、
まず回答者全体で
・満足している-----68%
・満足していない---32%
といったように2つに‘分けて’みます。
すると、機能についてのユーザー評価が端的にわかりますね。
これは単純集計です。
(単純すぎるので「分析」とは通常呼びません)
次いで、この評価を
「男性・女性」
の性別で重ねて切ってみる。
こうして重ねて切っていく方法を
「クロス集計」(クロス分析)
と呼びます。
すると回答結果が4分割され、
男女別のより精緻な満足度の把握が可能になります。
さらに、
・年齢別で切ってみる
・職業別で切ってみる
など、さまざまな分析を行って、
満足度調査の結果データを多面的に分けていきます。
これが分析の実際。
(上記の説明は初歩的なものですが)
さて、私は以前から繰り返し書いてきていますが、
「分析結果」
を出しただけではあまり価値がありません。
もちろん、数字そのものが伝えてくれることに
大きな価値がある場合も、たまにあります。
ただ、長年調査の仕事をやってきた経験からは、
分析結果の数字を見るだけでは、
実務の役には立たないという実感を持っています。
多くの場合、
その数字の意味することは何なのか?という
「解釈」
まで深く踏み込んでいかないと駄目なんですよね。
そうでないと、
「使えない調査」
の烙印を押されてしまいます。
日産自動車の執行役員市場情報室長、
星野朝子氏もまた、単なる調査(分析)結果を示すだけでは
調査をやる価値・意義は高くないないと考えているようです。
星野氏率いる市場情報室では、
日産の様々な部署から依頼された調査案件に対し、
内部で実行した場合、あるいは調査会社に外注した場合の
どちらにおいても、
「調査結果には付加価値をつけて依頼主の部署に報告する」
のだそうです。
(日経情報ストラテジー、APRIL 2008)
ここでの「付加価値」とは、
統計学や心理学、マーケティング理論などを
駆使して提示する、調査結果の解釈の仕方のことです。
ということは、
調査結果に対して優れた付加価値を与えることが
できるために、
次のページ調査担当者(リサーチャー)に求められること
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2009.09.08
2015.07.10
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。